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介護ロボットの種類と導入事例|施設の困りごとに合う機器の選び方

GLOBIZ WELLNESS
23 時間前
読了時間: 12分

介護ロボットを選ぶときは、製品名より先に、どの場面で、誰の何を助けたいのかを決めると候補を絞りやすくなります。移乗の介助、夜間の見守り、記録の転記では、必要な機能も導入後の仕事の変え方も異なるからです。


この記事では、施設・事業所で導入を検討する方に向けて、介護ロボットやICT機器の種類、実際の導入事例、比較と試用の進め方を整理します。機器を買うところで終わらず、現場で使える形にするためのガイドです。


介護ロボットとは?介護テクノロジーとの関係を整理


厚生労働省の説明では、介護ロボットを、周囲や人の状態を捉えて判断・動作する技術で、利用者の自立や介護者の負担軽減を支える機器としています。人型に限らず、さまざまな形があります。


一方、「介護テクノロジー」は、ロボットに加えてICTなども含めた、より広い考え方です。身体の動作を補助する機器だけでなく、センサーによる見守りや、データを使った記録・情報共有も検討対象になります。


国の「介護テクノロジー利用の重点分野」は、2024年6月の改訂で従来の6分野13項目から9分野16項目へ広がり、2025年4月から運用されています。追加されたのは、機能訓練、食事・栄養管理、認知症のある人の生活やケアを支える3分野です。


これは開発・普及に向けた政策上の分類で、市販品の全種類や補助金の対象を示す一覧ではありません。仕事の困りごとと照らし合わせ、調べる分野を絞る手がかりになります。


仕事の困りごとから見る介護ロボット・テクノロジーの種類


身体の動作、状態の把握、記録・共有という困りごとの例を示すイラスト

次の表と各種類の説明は、厚生労働省の重点分野の定義をもとに整理しています。制度上の対象・除外条件も同資料に基づきます。表で候補を絞り、各種類の説明で機能を見ていきましょう。


現場の困りごと

重点分野

項目

最初に確かめたいこと

移乗介助の身体的負担が大きい

移乗支援

装着・非装着

利用者の姿勢と介助方法に合うか

歩行や立ち座りを支えたい

移動支援

屋外・屋内・装着

使う場所と本人の動作に合うか

排泄のタイミング把握や介助に困る

排泄支援

排泄予測・検知、排泄物処理、動作支援

どの作業を助ける機能か

入浴時のケアや動作を助けたい

入浴支援

入浴支援

浴室と介助の動線に合うか

状態を把握したい、交流を支えたい

見守り・コミュニケーション

施設・在宅・コミュニケーション

通知や働きかけをどうケアに生かすか

記録の転記や情報共有に時間がかかる

介護業務支援

介護業務支援

既存システムと連携できるか

機能訓練の評価や計画を助けたい

機能訓練支援

機能訓練支援

どの評価・訓練業務を支えるか

食事・栄養管理の周辺業務を助けたい

食事・栄養管理支援

食事・栄養管理支援

誰のどの作業を減らせるか

認知症のある人に合う生活支援を考えたい

認知症生活支援・認知症ケア支援

認知症生活支援・認知症ケア支援

本人の暮らしや個別のケアに合うか


移乗介助の身体的負担に対応する「移乗支援」


ベッドから車いすへ移るなど、体を別の場所へ移す場面を支援します。装着型は介助する職員が身につけて動作を補助するもの、非装着型は職員が装着せずに機器を使って移乗を助けるものです。


補助する力に加え、利用者の体格・姿勢、ベッド周辺の広さ、準備から移乗までの動きが今のケアに合うかを比べます。国の重点分野の「移乗支援(非装着)」では、つり下げ式移動用リフトを除いています。


歩く・立ち座る動作を助ける「移動支援」


移乗支援がベッドと車いすの間などを移る介助に着目するのに対し、移動支援は、自分の足で歩くことや立ち座る動作を支えます。屋外、屋内、装着という3項目に分かれています。


たとえば屋外では坂道や荷物の運搬、屋内では居室からトイレまでの動きなど、使う場所によって必要な機能が変わります。国の屋内・屋外の重点分野は、使用者が乗って移動する機器を対象としていないため、電動車いすをそのまま当てはめることはできません。


歩行の補助、機能訓練、治療のどれを目的とする製品かを見て、利用者の動作と使う場面に合わせます。


排泄・入浴の介助を支える機器


排泄支援には、排泄のタイミングを予測・検知するもの、排泄物を処理するもの、トイレでの衣服の着脱などを助けるものがあります。どの工程を受け持つかが、選ぶ際の手がかりです。


入浴支援は、体の清潔を保つケアや、浴槽に出入りする動作などが対象です。いずれも、利用者が受け入れやすいか、清掃しやすいか、職員が周囲で動けるかといった、実際の使い方まで含めて検討します。


状態の把握や会話を支える「見守り・コミュニケーション」


通知を受け、職員が状態を確認し、必要なケアにつなげる流れ

見守り機器は、センサーなどで捉えた状態を、職員や家族の確認・対応につなげるために使います。施設と在宅では、近くに対応できる人がいるか、通知が届いてからどう動くかが異なります。


コミュニケーションを支える機器は、会話や働きかけなどを通じた関わりを助けます。状態の把握と交流の支援は別の役割です。見守り機器を使う際は、通知を受ける人と、その後の対応を決めます。


記録・情報共有を助ける「介護業務支援」


利用者の情報を集め、記録し、職員間で共有する仕事を支える機器やシステムです。見守り機器などのデータと記録をつなげられれば、同じ情報を何度も入力する仕事の見直しにつながります。


連携の範囲は製品や契約によって異なります。今の記録ソフトへ自動で入る情報と、手入力する情報を分けて調べると、残る作業が見えてきます。


機能訓練・栄養管理・認知症ケアを支えるテクノロジー


新たに加わった3分野は、直接体を動かす機器に限りません。機能訓練の評価や計画、実施を助けるもの、食事・栄養管理の周辺業務を支えるもの、認知症のある人の生活や個別のケアを助けるものが含まれます。


分析結果を、専門職の判断、利用者への説明、職員間の共有にどう使えるかで比べると、日々のケアとのつながりが見えます。


導入事例で見る、機器と一緒に変えた業務


ここでは、厚生労働省の『介護テクノロジー等のパッケージ導入モデル』改訂版(2026年3月)から、性質の異なる3事例を紹介します。いずれも、機器とあわせて職員教育や業務の進め方を変えた施設の報告です(2026年3月は刊行年月で、各事例の実施時期とは別です)。該当箇所は冊子の頁番号で、山咲苑20–21頁、サングリーンアネモス46–47頁、牧山いわき苑54–55頁です。


山咲苑:移乗支援と職員の操作教育を組み合わせた事例


三重県の介護老人保健施設・山咲苑では、座位を保つことが難しい利用者の移乗に職員2人が必要で、応援を呼ぶ間の待ち時間や職員の負担が課題でした。


  • 導入した機能: 非装着型の移乗支援機器「リショーネ」。

  • 変えた運用: 理学療法士が座る姿勢を調整し、その写真と手引きを共有。職員への操作教育も行いました。

  • 報告された変化: 対象となる利用者の移乗に1人で対応でき、本人の状態に合わせて食堂への移動や休憩を取りやすくなったとしています。

  • 残った課題: 使用中の充電切れを経験。利用者の体重や使用頻度でバッテリーの消費が異なりました。


この事例では、姿勢の調整・操作の共有・充電管理が、機器を日々のケアに組み込む要点になっています。


サングリーンアネモス:見守りと記録データを連携した事例


福岡県の特別養護老人ホーム・サングリーンアネモスでは、夜間の巡視に追われ、ケアのタイミングを十分に合わせにくいことが課題でした。


  • 導入した機能: 既存のバイタル型見守り機器と介護業務支援機器に、カメラ型の見守りを追加し、データを連携。

  • 変えた運用: 利用者等の同意取得と職員の操作練習を実施。介護業務支援機器のトリアージ機能で低リスクとされた利用者に対象を絞って巡視を調整し、減らした分はカメラなどで確認しました。

  • 報告された変化: 機器の確認に使う時間は増えた一方、巡視・移動に使う時間が減り、直接ケアに充てる時間が増えました。

  • 継続して必要な運用: 機器による状態の確認と、職員が対応する体制。


対象者と確認方法を決め、仕事の配分を変えた点が参考になります。


牧山いわき苑:機能訓練の評価を利用者と共有した事例


福岡県の牧山いわき苑通所リハビリテーションでは、評価・測定に時間がかかり、口頭の説明だけでは結果が利用者や家族に伝わりにくいことが課題でした。


  • 導入した機能: 機能訓練ソフトによる評価と、その結果を記録・説明に使う仕組み。

  • 変えた運用: 操作方法や活用のコツを職員間で共有し、評価結果を利用者へ伝えました。

  • 報告された変化: 状態や変化を説明しやすくなり、利用者から訓練について前向きな要望が出たとしています。

  • 残った課題: 操作する職員によって測定値がぶれやすく、チェックリストや手順書で操作をそろえる必要がありました。


これは評価を共有した活用事例で、ソフトによる身体機能の改善を検証したものではありません。


施設に合う機器を選ぶための比較ポイント


利用者への適合、現場での使い方、継続運用の条件を比べる職員

気になる機器が見つかったら、候補ごとに次の項目を埋め、自施設の条件で比べます。


比較する項目

書き出す内容

対象と場面

誰が、いつ、どこで、何のために使うか

適合条件

利用者の状態、体格、姿勢、必要な介助

現場での使い方

準備・操作・保管・充電・清掃の方法

情報と連携

取得するデータ、閲覧者、既存ソフトへの受け渡し

費用

初期費用、継続費用、研修や保守に必要な費用

サポート

導入時の支援、故障時の連絡先、使えない間の対応


利用者の状態と、使う場面に合うか


利用者の姿勢、介助が必要な動作、装着や操作の受け入れを、専門職と照らし合わせます。


「移乗が大変だから」から一歩進めて、「朝の離床時に、誰の、どの動作を助けるか」まで具体化すると、試す条件を決めやすくなります。本人への説明の仕方や、使わない場面もあわせて整理します。


置き場所・操作・データ連携・故障対応まで確認する


通路・居室での使用スペース、保管・充電場所、清掃する時間を確保できるか調べます。通信を使う機器なら、実際に使う場所でつながることも条件です。


映像や個人のデータを扱う場合は、何のために取得し、誰が閲覧し、どう管理するかを決め、利用者や家族への説明につなげます。既存システムとの連携範囲と、故障・停電・通信障害時に戻る手順も整理します。


本体価格だけでなく、運用費と補助制度を確認する


購入とレンタルは、初期費用と継続費用を合わせて比べます。設置・通信・保守・消耗品・ソフト利用料・研修など、見積もりの範囲をそろえます。


厚生労働省の事業者向け案内では、介護テクノロジーの導入・定着を支援する補助制度も紹介されています。ただし、対象となる事業所や機器、補助額、募集時期は地域や年度によって異なります。購入・契約に進む前に、所在地の都道府県の最新の募集要領で、申請と契約の順序まで確かめます。


施設への導入補助と、個人が福祉用具を利用するときの介護保険給付は別の制度です。給付対象の確認は、後述のFAQで案内します。


相談・試用から始め、導入後の運用と効果を確かめる


課題を決め、小さく試し、手順をそろえ、振り返る四つの場面

導入は、「課題を決める→試す→現場で使う手順を整える→振り返る」という流れで進めます。対象と場面を絞ると、機器の適合と運用上の課題を分けて考えやすくなります。


試用する場面と確認項目を決め、地域の相談窓口へ


相談するときは、困っている仕事と、試したい利用者・時間帯・場所をメモにまとめます。あわせて、「準備を含めた介助時間」「職員の負担感」「利用者の反応」など、何を見て判断するかを決めます。


地域の介護生産性向上に関する相談窓口や展示・試用貸出、メーカーのデモ相談は、候補を実際に確かめる入口です。貸し出せる機器や期間、費用は窓口ごとに異なります。相談先を探す際は、都道府県の介護テクノロジー導入支援の案内が手がかりになります。


職員への研修と、利用者に合わせた運用ルールを整える


シフトが替わっても使えるよう、操作を教える人と各勤務帯で使う人を決め、実際の場面で練習します。


充電や清掃、通知後の対応などは、普段の業務のどこへ組み込むかまで決めると続けやすくなります。利用者への説明や必要な同意も整え、初めのうちは慣れるための時間を見込んで運用します。


利用者・職員・業務への変化を振り返り、継続や見直しを判断する


導入前後は、なるべく同じ条件で比べます。作業時間だけでなく、実際に使われた場面、職員の負担感、利用者の受け入れ、ヒヤリとした出来事も振り返ります。


期待した変化がなければ、置き場所・設定・対象者・教え方・仕事の手順を見直します。それでも合わない場合は、中止や別の機器への変更を検討します。


介助の負担だけでなく、利用者の「やりたいこと」から機器を選ぶ


WIM Sを装着した女性が同行者と屋外を歩く様子

利用者本人の「どんな時間を過ごしたいか」も、機器を選ぶ起点になります。


導入場面の仮の例として、自分で歩ける利用者が「外を歩く活動を楽しみたい」と希望している場合を考えてみます。場所や休憩の取り方を整えたうえで、歩行動作を補助する機器を試す、という選択肢があります。


その候補の一つが、腰に装着して歩行動作を補助するWIM Sです。自立歩行が可能な方を前提とする製品で、体重を預けて支える杖や歩行器とは役割が異なります。メーカーのFAQでは医療機器ではないと説明されており、症状の治療を目的としたものでもありません。


施設やデイサービス向けの導入・デモ相談では、本人が使ってみたいと思えるか、使用条件に合うか、現場で装着や操作を扱えるかを確かめられます。


WIM Sの製品情報・法人向け相談はこちらのフォームから


介護ロボットの種類・導入に関するよくある質問


A:在宅での見守りや移動の支援など、家庭での利用を想定した機器もあります。自宅の広さや通信環境に加え、通知を誰が受け、必要なときに誰が対応できるかを含めて選びます。

A:「介護ロボット」という名称だけでは決まりません。厚生労働省の福祉用具の案内に示されている対象種目や、利用者の条件などによって異なります。利用を希望する機器がある場合は、ケアマネジャーや福祉用具事業者に相談してください。施設の導入補助とは別の仕組みです。

A:一律にやめる判断はできません。利用者の状態やケア計画に合わせて、機器で確認する範囲、職員が訪室する場面、通知後の対応を組み立てます。紹介した事例も、対象を限り、巡視を減らした分は別の確認で補っています。

A:同じ機器でも、利用者の状態、導入前の仕事、研修や運用によって結果は変わります。事例の運用を参考に、自施設の課題に合う評価項目を決めて試します。


まとめ|種類を知り、現場の課題に合う小さな試用から始めよう


介護ロボットやICT機器は、9分野16項目という政策上の整理を手がかりに、助けたい仕事から候補を探せます。導入事例で見るべきなのは、機器の名前や成果の数字だけでなく、一緒に変えた介助方法や職員の動きです。


まずは現場の困りごとを一つ選び、「誰が、どこで、どう使うか」を書き出してみてください。その条件を持って相談・試用へ進むことが、施設に合う機器を見つける出発点になります。

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