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ロコモティブシンドロームの予防|運動・食事と無理のない始め方

GLOBIZ WELLNESS
22 時間前
読了時間: 14分

ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、骨・関節・筋肉などの運動器に問題が生じ、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態です。


予防を始めたいとき、運動を何回するかと同じくらい大切なのが、「どんな暮らしを続けたいか」です。自分で買い物に行く、友人と出かける、家事を続ける。そのために今できていることと、負担になっていることを分けてみましょう。


この記事では、続けたい生活を一つ選び、運動や食事をその生活に組み込む始め方を提案します。基本の運動と食事に加え、続かなかったときの変え方や、本人・家族が相談先へ伝えたいことまで紹介します。痛みやふらつきで行動を控えている方は、運動量を増やす前に医療機関へ相談してください。


基礎情報は、日本整形外科学会のロコモ予防情報、厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023、国立長寿医療研究センターの在宅活動ガイドなどを参考にしています。生活に取り入れる例や振り返り方は、これらを踏まえた本記事の提案です。


ロコモ予防は「運動・食事・必要な相談」から始める


ロコモが進むと、将来介護が必要になるリスクが高まります。筋力だけの問題ではなく、骨粗鬆症や関節の病気などが関わることもあります。


予防では、身体を動かす機会と、骨や筋肉を支える食事の両方が必要です。ただし、暮らしも身体の状態も一人ひとり違います。次の例から、自分が見直しやすいところを探してください。


今の暮らしで気になること

まず決めたいこと

散歩はしているが、それ以外の運動はしていない

歩く距離だけを増やさず、筋力・バランスを養う運動も取り入れられるか確認する

昼食がパンだけ、麺だけになりやすい

次の食事で組み合わせる主菜や副菜を決め、買うものを一つメモする

運動しようと思っても、いつの間にか一日が終わる

安全に取り組める場所と、「朝の片づけ後」など思い出しやすい場面を決める

膝の痛みやふらつきが気になり、買い物を控えている

つらい動作と続けたいことを書き、かかりつけ医などに相談する


これは体力やロコモの段階を判定する表ではありません。取り組みを選ぶための例です。すでに運動や食事について個別の指示を受けている方は、その指示を優先しましょう。


突然、片側の手足に力が入らない、言葉が出ない、立てない・歩けないといった症状が現れた場合は、ロコモや年齢のせいと考えず、119番で救急車を呼んでください。


予防の運動は、片脚立ちとスクワットが基本


安定した机に手を添えた片脚立ちと、机を支えにゆっくり腰を落とすスクワットの説明イラスト

散歩や買い物、家事は、日々の身体活動になります。一方、高齢者の運動では、歩くことに加えて筋力・バランス・柔軟性などにも目を向けることが勧められています。「歩数は足りているか」だけでなく、普段どのような動きをしているかを振り返りましょう。


日本整形外科学会がロコモ予防のために紹介している運動が、ロコモーショントレーニング(ロコトレ)です。基本の運動には、バランス能力を養う片脚立ちと、下肢の筋力を養うスクワットがあります。いつもの散歩を続けながら、こうした運動を安全にできるか確かめる、という考え方です。


最初からすべての目安を達成する必要はありません。身体の状態に合わせて方法や量を調整し、無理なく取り組めることから始めます。支えが必要な人が手を離したり、痛みのある人が回数を優先したりすることは避けてください。


始める前に体調と支えを確認する|痛みやふらつきは相談を


運動前に床や安定した支えを確認する室内のイメージ

始める前に、足元に物がないか、手をつく机などが安定しているかを確認します。「台所に立ったついで」に取り組むとしても、火を使う作業や物を運ぶ動作と同時には行わず、運動に集中できる場面を選びましょう。


発熱など体調が悪い日は休みます。痛み・めまい・ふらつきがある方や、治療中で運動の範囲が分からない方は、先に医師などへ相談してください。運動中に新たな痛み、動悸、息苦しさ、めまいなどが出たときは中止し、相談しましょう。


相談では、「運動してよいですか」だけでなく、「買い物を続けたい。片脚立ちやスクワットをしてよいか。支えや回数はどうしたらよいか」と尋ねると、生活に使う方法を確認できます。


片脚立ちは、つかまれる場所で無理なく行う


片脚立ちは、必ずつかまるものがある場所で行います。支えが必要なら、安定した机に手や指を添え、片方の足を床から少し浮かせます。足を高く持ち上げる必要はありません。


時間の目安は、左右それぞれ1分で1セット、1日3セットです。ただし、これは運動の目安で、1分立てるかを競うテストではありません。身体が不安定になるのに時間だけを延ばさず、支えを使っても難しいときは方法を相談してください。


家族が一緒に確かめるなら、秒数を数えることより先に、周囲の物をどけ、本人が安心して手をつける場所を整えましょう。


スクワットはゆっくり。難しい場合の方法も確認する


足を肩幅に開き、お尻を後ろへ引くように、2〜3秒かけて膝を曲げ、ゆっくり戻ります。膝の曲がりは90度を大きく超えないようにし、息を止めずに行います。支えが必要な場合は、机に手をつきます。


目安は、5〜6回で1セット、1日3セットです。深くしゃがむことより、無理なくゆっくり動けることを優先しましょう。


スクワットが難しい場合には、椅子に座り、机に手をついて立ち座りを繰り返す方法もあります。ただし、「椅子なら痛くても続けてよい」という意味ではありません。立ち座りに痛みやふらつきがある場合も、いったん中止して相談してください。


片脚立ちとスクワットの動きは、日本整形外科学会の図・動画でも確認できます。


食事は、主食・主菜・副菜の組み合わせを見直す


主食のごはん、主菜の魚、副菜の野菜を組み合わせた食事の一例

食事は、「身体によい食品を買う」より先に、普段の一食を思い浮かべてみてください。ごはん・パン・麺などの主食、肉・魚・卵・大豆製品を使う主菜、野菜・きのこ・海藻などを使う副菜がそろっているでしょうか。


一品ずつ手作りして別の皿に盛る必要はありません。具のある麺や丼、買ってきた惣菜でも組み合わせを考えられます。次は、食事を整えるための例です。これだけで一日に必要な栄養がすべて満たせるという献立ではありません。


よくある食べ方

手間を増やしすぎない組み合わせ例

トーストだけで済ませる

卵料理と、食べやすい野菜のおかずを合わせる

具の少ないうどんで済ませる

卵や豆腐、野菜を具に使い、一つの器でも組み合わせる

おにぎりだけを買う

魚や肉のおかず、野菜の惣菜も一緒に選ぶ


牛乳・乳製品や果物も、日々の食事に取り入れましょう。まず変えるなら、いつも単品になりやすい一食が候補です。「昼のうどんに入れる卵と野菜を買う」と決めると、次の買い物にもつながります。


たんぱく質だけでなく、食事全体の量も不足させない


筋肉の材料となるたんぱく質に加えて、身体を動かすエネルギーも必要です。肉や魚を意識していても、食事を抜いたり、ごはんなどを極端に減らしたりして、食事全体が不足していないか確認しましょう。


ここで考えたいのは、「何が足りないか」と「なぜ食べられないか」の両方です。


  • 用意するのが大変なら、惣菜や冷凍食品を活用し、買い物や調理を家族と分担できないか考える。

  • 食欲がない、意図せず体重が減るなら、食品を足すだけで済ませず、かかりつけ医に相談する。

  • 歯や入れ歯が合わず噛みにくいなら、歯科で相談する。むせや飲み込みにくさが気になる場合も、医療機関に伝える。


「もっと食べて」と声をかける前に、準備と食べることのどちらで困っているかを聞いてみましょう。病気の治療で食事量や食品に指示がある方は、自己判断で増減させず、医師や管理栄養士に確認してください。


カルシウムなど骨を支える栄養も、身近な食品から


骨を支えるためには、カルシウムだけでなく、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKなども必要です。カルシウムは乳製品や小魚、小松菜、ビタミンDは鮭などの魚やきのこ類、ビタミンKは納豆や緑色の野菜などに含まれます。


栄養素を一つずつ数えるのが負担なら、同じおかずばかりにせず、使う食品に目を向けてみましょう。例えば、主菜を肉だけにせず魚や大豆製品からも選ぶ、牛乳が苦手なら食べられる乳製品やほかのカルシウム源を考える、といった方法があります。


好み、用意のしやすさ、食べられる量に合わせて選ぶことが、毎日の献立を考える手がかりになります。薬や病気による食品の制限がある場合は、上の食品例より個別の指示を優先してください。


運動と食事から、続けられる取り組みを一つ決める


家族と机上のカレンダーを見ながら取り組む時間を決める場面と、いつもの麺料理に食品を加える場面のイラスト

「運動も食事も大切」と分かっていても、毎日の予定を一度に変えるのは大変です。そこで、続けたい生活を一つ決め、今つまずいているところから手をつけてみませんか。


例えば「自分で昼食を用意し、買い物にも行きたい」なら、運動の機会だけでなく、買った物を持ち帰る負担や、調理の手間も関係します。全部を本人だけで頑張るのではなく、本人が続けたい部分と、家族やサービスに手伝ってほしい部分を分けて考えましょう。


以下は取り組み方を考えるための想定例で、実際の体験談や効果を示す事例ではありません。


続けたい暮らしに合わせ、日々の行動を小さく決める


散歩は続いているが、自宅の運動は忘れてしまう場合


散歩の距離を増やすことから始めず、まず筋力・バランスを養う運動をする場面を決めます。例えば、朝の片づけが終わった後、安全に手をつける机の前でロコトレに取り組む。家族に知らせるなら「毎日運動させて」ではなく、「この時間なら一緒に確認できる?」と具体的に相談します。


朝は用事が重なって忘れるなら、別の時間に変えて構いません。何度も準備をしないと始められないなら、運動できる場所を見直します。続かない理由に合わせて、生活側を調整してみましょう。


昼食が麺だけになりやすい場合


「毎食きちんと作る」と決める代わりに、次の買い物で麺に加える食品を選びます。野菜を切るのが負担なら、使いやすい冷凍野菜なども候補です。買い物そのものが難しいなら、家族が重い物を担当する、配送を使うなど、食材が手元に届く方法を考えます。


食材を用意しても残してしまうなら、調理の手間ではなく食欲や噛みにくさで困っていないかを確認します。その場合は、献立の工夫だけで続けようとせず相談につなげましょう。


どちらも「一つできれば予防は十分」という意味ではありません。まず暮らしに入れやすい行動を決め、無理なく続けられたら、ほかに見直せることも考えていきます。


できたことと困ったことを、短く残して見直す


振り返るときは、運動回数だけでなく、暮らしの中でどうだったかを見ます。毎日記録するのが負担なら、困ったときに一言残すだけでも構いません。


続けたいこと:近所へ買い物に行く。 試したこと:朝の片づけ後に、自宅でロコトレに取り組む。 困ったこと:机の周りに荷物が多く、準備が負担だった。 次に変えること:家族と相談して、安全に使える場所を決めておく。


「忘れた」「場所が使えなかった」「痛みが出た」では、次にすることが違います。忘れるなら時間やきっかけを変え、準備が負担なら場所を整える。痛みなどの症状があれば、量を増やして解決しようとせず、中止して相談します。


本人と家族で話す機会に、「続けられそうか」「困りごとは変わったか」「誰かに頼むことはあるか」を確かめましょう。できなかった分を翌日にまとめて取り返す必要はありません。短期間の回数や体感だけで、ロコモが改善したと判断しないことも大切です。


買い物や家事の支援、近所で参加できる介護予防の活動を知りたいときは、市区町村や地域包括支援センターに相談できます。家族だけで対策を抱え込まず、地域の窓口も使いましょう。


足腰の変化が気になる人は、ロコモのチェック方法を知っておく


普段の生活を振り返るロコチェックと、立ち上がり・2ステップ・ロコモ25からなるロコモ度テストの役割を比べた図

ここでは、日本整形外科学会の予防啓発サイト「ロコモONLINE」で紹介されている、生活上のサインを振り返る「ロコチェック」と、移動機能を確かめる「ロコモ度テスト」を取り上げます。


本人が「歩ける」と答えていても、以前の店には行かなくなった、外出の約束を減らした、といった変化があるかもしれません。家族は、「最近、負担でやめたことはある?」と聞いてみてください。


全員が運動前にテストを済ませる必要はありません。痛みやふらつきが悪化している場合は、チェックより受診を優先します。


ロコチェックは、普段の生活の変化を振り返るもの


以下は、ロコチェックの7項目の要点です。確認のために動作を試すのではなく、普段の経験を振り返ってください。


  1. 片脚で立ったままでは、靴下をはくことができない。

  2. 室内で足が引っかかったり、滑ったりする。

  3. 階段を上るときに、手すりが欠かせない。

  4. 掃除機がけや布団の上げ下ろしなど、やや負担の大きい家事が難しい。

  5. 買った物を約2kg持って帰ることが難しい。

  6. およそ15分間、歩き続けることができない。

  7. 青信号の時間内に、横断歩道を渡り終えられない。


一つでも当てはまると、ロコモの心配があるとされています。「いつから」「どの場面で」「どんな支えが必要になったか」も残し、相談の材料にしましょう。チェックに当てはまらないよう、手すりなどの必要な支えを外すことは避けてください。


ロコモ度テストは3種類。結果は相談や対策を選ぶ材料に


ロコモ度テストは、台から立てるかを調べる立ち上がりテスト、2歩分の最大歩幅を身長で割って評価する2ステップテスト、この1か月の身体や生活について答える質問票のロコモ25の3種類です。


結果が異なる場合は、移動機能の低下が最も進んでいる段階が判定結果になります。ロコチェックの該当数や、片脚立ちを続けられた秒数を、この判定に置き換えることはできません。


判定された段階

次に考えること

ロコモ度1:移動機能の低下が始まった状態

運動習慣と食事を見直す

ロコモ度2:移動機能の低下が進行した状態

特に痛みがある場合は、整形外科専門医への受診が勧められる

ロコモ度3:移動機能の低下がさらに進み、社会参加に支障がある状態

整形外科専門医による診療が勧められる


詳しい方法と基準は、ロコモ度の判定方法・各テストで確認できます。動作を伴うテストを自己流で行わず、転倒を繰り返す、立つだけでふらつく、痛みが出そうといった場合は、自宅で無理に試さず医療機関で相談しましょう。


相談には、結果に加えて「立ち上がると膝が痛む」「買い物を減らした」などの変化と、「また何をしたいか」を持っていきます。テストは病気の原因を特定するものではないため、結果が気にならなくても、続く痛みや歩きにくさを放置しないでください。


足が上がりにくいときの原因や受診の目安は、次の関連記事で紹介しています。


ロコトレとあわせて、日常の「歩く機会」も見直す


WIM Sを装着した女性と隣を歩く女性の先方提供写真

ロコモ予防では、片脚立ちやスクワットなどの運動に取り組むことと、日常生活で身体を動かすことの両方に目を向けます。自宅でのロコトレだけでなく、散歩や買い物など、普段どんな場面で歩いているかも振り返ってみましょう。


散歩をしているからロコトレは不要、ということではありません。筋力やバランスを養う運動と、暮らしの中で歩く機会を、身体の状態に合わせて組み合わせる考え方です。歩く距離を一律に増やすのではなく、今の散歩や外出で、どの動作を補助したいのかを具体的にすると、機器を検討する際にも相談しやすくなります。


自分で歩ける方が、歩行動作を補助する機器を検討する場合には、WIM Sという選択肢があります。腰に装着するタイプの歩行支援機器で、歩く動きに合わせて補助力を調整します。体重を預ける杖や歩行器とは役割が異なります。


WIM Sはロコモを治療する医療機器ではなく、ロコトレや食事の代わりになるものでもありません。痛みや強いふらつきがある場合は、機器選びより先に医療機関へ相談してください。


製品を検討するときは、WIM Sの製品情報と体験の方法・条件を確認し、普段歩く場面を伝えたうえで、装着感・操作・補助の感じ方を確かめましょう。


ロコモ予防について、よくある質問


A:まず、何が嫌なのか、何に困っているのかを聞いてみましょう。痛みや転ぶ不安があるなら、運動を促すより相談が先です。「散歩をしてほしい」という家族の希望だけで決めず、本人が続けたいことと、手伝ってほしいことを一緒に考えます。運動への気持ちが向かないときも、食事の用意など本人が取り組みたいことから話し合えます。本人の意向を尊重し、回数の達成を強いることは避けましょう。

A:散歩は大切な身体活動ですが、筋力やバランスを養う運動も組み合わせることが勧められます。片脚立ちやスクワットはその候補です。散歩の距離を一律に増やすのではなく、いま行っている運動の内容を確認し、自分の身体に合う方法を選びましょう。

A:痛みを我慢して回数をこなす必要はありません。いったん中止して、痛む場所や動作を医師などに伝え、方法を相談してください。椅子からの立ち座りへ変えれば必ず安全とも限りません。回数の目安より、身体の状態に合うことを優先します。


まとめ|運動・食事・必要な相談から、今日の一歩を選ぼう


ロコモ予防では、日常の身体活動に加え、筋力やバランスを養う運動と、骨や筋肉を支える食事を続けることが基本です。その始め方は、今の身体の状態と暮らしに合わせて選びましょう。


まずは「続けたいこと」を一つ挙げてください。散歩はできているなら自宅の運動を行う場面を決める。昼食が単品なら次に加える食品を決める。痛みで行動を控えているなら、困る動作と希望を相談先に伝える。取り組んでみて難しければ、時間や準備、必要な手助けを見直します。


本人が大切にしている生活を、どのように支えられるか。家族ともその視点を共有しながら、無理のない一歩を選んでいきましょう。

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