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足が上がらない原因とは?高齢者が病院を受診する目安と対処法

  • GLOBIZ WELLNESS
  • 7 時間前
  • 読了時間: 13分



このような変化があると、年齢による筋力低下を考えるかもしれません。しかし、「足が上がらない」という言葉には、脚全体を前へ出しにくい状態、つま先だけが上がらない状態、痛みを避けて脚を出せない状態などが含まれています。


背景にあるのは、筋力低下だけではありません。つま先を動かす神経の障害、腰の神経の圧迫、股関節や膝の痛み、脳・神経の病気、全身的な身体機能の低下などが考えられます。


原因によって必要な対応は異なります。特に、急に症状が現れた場合や、片側だけに強い変化がある場合は、筋力トレーニングや杖の購入より先に医療機関への相談が必要です。


次の症状があるときは、すぐに医療機関へ相談してください


  • 急に片脚へ力が入らなくなった

  • 顔のゆがみ、腕の脱力、ろれつが回らないなどの変化がある

  • 突然立てなくなった、歩けなくなった

  • 両脚の脱力に、尿が出にくい、尿や便を漏らす、股の間の感覚が鈍いといった変化を伴う

  • 転倒後に脚の付け根が強く痛み、立ったり歩いたりできない


顔、腕、言葉の異常や突然の歩行困難は、脳卒中を疑う症状です。症状が始まった時刻を確認し、ためらわず119番へ連絡してください。


症状が数分から数時間で消えた場合も、治ったと判断して様子を見ないでください。脳梗塞の前触れとなる一過性脳虚血発作の可能性があるため、速やかな医療評価が必要です。


始まり方と動かしにくい場所を確認する

足が上がらない4つの状態の違い

受診の緊急度や相談先を考えるには、「足が上がらない」という一言だけでなく、症状の出方を具体的にすることが重要です。


まずは、次の点を確認してください。


  • 急に始まったか、少しずつ変化したか

  • 右脚または左脚だけか、両脚か

  • 脚全体とつま先のどちらが上がらないか

  • 痛み、しびれ、ふらつき、身体のこわばりなどを伴うか

  • 歩き始め、階段、長く歩いた後など、どの場面で起こるか


動きを確かめるために、立ったまま無理に脚を上げる必要はありません。安定した椅子に深く座り、転倒しない状態で左右を比べます。



1.脚全体を持ち上げにくい


椅子に座ったまま、左右の膝を一方ずつ少し持ち上げます。


片側だけ上がりにくい、脚の付け根が痛む、力を入れてもほとんど動かないといった場合は、筋力だけでなく、股関節や神経の問題が関係している可能性があります。



2.つま先だけが上がらない


かかとを床につけたまま、左右のつま先を持ち上げます。


片側だけ動かない、左右差が大きい、すねの外側から足の甲にしびれや感覚の鈍さがある場合は、脚全体の筋力低下とは異なる問題が考えられます。



3.痛くて脚を出せない


脚を動かす力が残っていても、腰、股関節、膝などの痛みを避けるために、歩幅が小さくなったり、脚を十分に持ち上げなくなったりすることがあります。


この場合は、痛みを我慢して脚上げ運動を行うのではなく、どこが、どの動作で痛むのかを確認することが先です。



4.椅子では動かせるが、歩くと足が出にくい


座った状態では脚を動かせても、歩き始めや方向転換、狭い場所を通るときなどに足が出にくくなることがあります。


このような変化は、単純な脚の筋力低下だけでは説明できない場合があります。家族から見た歩き方の変化も含めて、医師へ伝えましょう。


これらは、自宅で病名を判断するための検査ではありません。どの動きが難しいのかを整理し、受診時に具体的に説明するための確認です。強い痛みやしびれが出る動作は、繰り返さないでください。


足が上がらない原因は、筋力低下だけではない

高齢者の足が上がらない主な原因


足を前へ出す動きには、股関節を曲げる腸腰筋などが関わります。しかし、足が上がらない原因は、特定の筋肉の衰えだけでは説明できません。


股関節、膝、足首の動きに加えて、筋肉へ指令を送る脳や神経、痛みの有無、身体を支えるバランス機能などが関係しています。



つま先が床へ引っかかる

歩くたびにつま先が床へ引っかかる、スリッパが脱げる、足を床へ強く打ちつけるような音がするといった場合は、「下垂足(かすいそく)」と呼ばれる状態が考えられます。


下垂足とは、足首や足指を上方向へ反らしにくくなった状態です。病名そのものではなく、神経などの障害によって起こる症状を指します。


原因の一つに、膝の外側を通る腓骨神経の麻痺があります。足首や足指を反らしにくくなるほか、すねの外側から足の甲にかけて、しびれや感覚の鈍さが現れることがあります。


ただし、同じような症状は、腰椎椎間板ヘルニアなどによる神経の圧迫や、脳・神経の病気でも起こります。「すねの筋肉が弱っただけ」と判断して運動を続けず、整形外科などで原因を確認してください。



腰から脚に痛みやしびれがある

腰からお尻、太もも、ふくらはぎに痛みやしびれがあり、脚へ力を入れにくい場合は、腰の神経が圧迫されている可能性があります。


腰部脊柱管狭窄症では、立ったり歩いたりすると脚の痛みやしびれが強くなり、休むと軽くなることがあります。腰の痛みがあまり目立たない場合もあります。


腰椎椎間板ヘルニアでも、腰やお尻から脚にかけて痛みやしびれが出たり、脚へ力が入りにくくなったりすることがあります。


しびれの範囲が広がっている、脚の力が弱くなっている、歩ける距離が短くなっている場合は、早めに整形外科へ相談しましょう。



股関節や膝の痛みで脚を持ち上げにくい

股関節や膝に痛みがあると、痛みを避けるために歩幅が小さくなり、脚を十分に持ち上げなくなることがあります。


変形性股関節症では、脚の付け根だけでなく、太ももや膝周辺に痛みを感じることがあります。変形性膝関節症では、立ち上がりや歩き始め、階段の上り下りなどで痛みが出やすくなります。


関節が腫れている、動かせる範囲が狭くなった、脚へ体重をかけにくいといった場合は、痛みを我慢して筋力トレーニングを続けず、整形外科で原因を確認してください。


また、骨が弱くなっている高齢者では、転倒などをきっかけに太ももの付け根を骨折することがあります。転倒後に脚の付け根が痛み、立てない、歩けない場合は、速やかな受診が必要です。



歩き始めにくい、すり足や小刻み歩行になる

最初の一歩が出にくい、歩幅が小さい、すり足になる、方向転換に時間がかかるといった変化は、パーキンソン病をはじめとする脳・神経の病気でもみられます。


手足の震え、動作の遅さ、身体のこわばり、転びやすさ、声が小さくなったといった変化もある場合は、かかりつけ医や脳神経内科へ相談しましょう。



両脚が徐々に弱くなっている

外出する機会が減り、椅子からの立ち上がりや階段の上り下りなども全体的に難しくなっている場合は、活動量の低下やサルコペニア、フレイルなどが関係している可能性があります。


サルコペニアは、加齢や病気などに伴って筋肉量、筋力、歩行や立ち上がりなどの身体機能が低下した状態です。フレイルは、心身の機能や回復力が低下し、体調を崩したときに元の状態へ戻りにくくなっている状態を指します。


ただし、徐々に弱っているからといって、年齢や運動不足だけが原因とは限りません。糖尿病などによる末梢神経障害、低栄養、薬の影響、持病の悪化、神経や筋肉の病気などが背景にあることもあります。


両脚の弱さが進んでいる、足のしびれや感覚の鈍さがある、食欲や体重が落ちたといった場合は、かかりつけ医へ相談してください。



足が上がらない状態は治るのか


足が上がらない状態の経過は、原因によって異なります。


神経への一時的な圧迫、関節の痛み、活動量の低下などが関係している場合は、原因に応じた治療やリハビリによって改善が期待できることがあります。


一方で、継続的な治療が必要な病気や、完全には元に戻らず、運動療法や装具、福祉用具を使いながら歩行を補う状態もあります。


症状だけを見て「治る」「治らない」と判断することはできません。早めに原因を確かめることが、適切な治療を始め、その後に選べる対策を狭めないことにつながります。



症状が続くときは、整形外科やかかりつけ医へ相談する

足が上がらないときの症状別の相談先


緊急性の高い症状がなくても、次のような状態では医療機関への相談を検討してください。


  • 片側だけ明らかに動かしにくい

  • 症状が続いている、または繰り返している

  • 徐々に悪化している

  • つま先が何度も床へ引っかかる

  • しびれや感覚の鈍さがある

  • 転倒やつまずきが増えた

  • 歩ける距離が短くなった

  • 階段や立ち上がりも難しくなった

  • 家族から歩き方の変化を指摘された


腰、股関節、膝、足首の痛みや、つま先の上げにくさがある場合は、整形外科が主な相談先です。


すり足、小刻み歩行、歩き始めにくさ、身体のこわばり、手足の震えなどがある場合は、かかりつけ医または脳神経内科へ相談します。


食欲低下、体重減少、全身のだるさ、息切れなどもある場合は、脚だけの問題と決めつけず、かかりつけ医へ伝えてください。


受診時には、次の内容を整理しておくと、症状を説明しやすくなります。


医師へ伝えること

伝え方の例

症状に気づいた時期

昨日の朝から、1か月ほど前から

変化の速さ

急に始まった、少しずつ悪化した

症状がある側

右脚だけ、両脚

動かしにくい部分

膝を上げにくい、つま先を反らせない

一緒に出る症状

腰痛、しびれ、関節痛、ふらつき

出やすい場面

歩き始め、階段、長く歩いた後

転倒や外傷

転倒した日、ぶつけた場所

生活上の変化

歩ける距離が短くなった、外出が減った


家族が歩き方の変化に気づいた場合は、安全な場所で普段の歩行を短く撮影しておくと、診察時の参考になることがあります。ただし、撮影のために無理に歩かせる必要はありません。


受診後の生活や介護についても困りごとがある場合は、地域包括支援センターへ相談できます。


地域包括支援センターは病気を診断する場所ではありませんが、高齢者本人や家族から相談を受け、必要に応じて医療・介護・福祉の支援につなぐ窓口です。



病院ではどのような検査をするのか

最初に、症状が始まった時期や経過、痛みやしびれの有無、転倒歴、持病などを確認します。


そのうえで、歩き方、脚の筋力、感覚、関節の動き、反射などを診察し、問題があると考えられる部位を調べます。


疑われる原因によっては、X線やMRIなどの画像検査、筋電図や神経伝導検査など、神経の働きを調べる検査が行われる場合があります。全身状態や持病との関係を調べるため、血液検査が検討されることもあります。


すべての人が同じ検査を受けるわけではありません。症状や診察結果に応じて、必要な検査が選ばれます。


自宅では転倒を防ぎ、運動や補助具を自己判断で始めない


原因が分からない段階では、特定の筋肉を鍛えることよりも、安全を確保することを優先します。



まず歩く環境を整える

足が上がりにくい状態では、つま先が段差や敷物へ引っかかりやすくなります。


  • めくれたマットや小さな敷物を片づける

  • 電気コードや荷物を歩く場所に置かない

  • 廊下、玄関、トイレ、寝室を明るくする

  • 脱げやすいスリッパや、かかとのない履物を避ける

  • 階段や段差では手すりを使う

  • 症状が強いときは、一人での外出や階段の使用を避ける


転倒を防ぐ環境調整は、原因を調べている途中でも始められます。



運動を始めてよい状態か確認する

急な麻痺、進行する筋力低下、強い痛みやしびれがある場合は、自宅での筋力トレーニングを先に行わないでください。


前述のような症状がなく、医師やリハビリ専門職から運動してよいと確認できた場合には、次のような軽い運動が候補になります。


医師に確認後に行う足の軽い運動4種類
  • 椅子に座り、かかとを床につけたまま、つま先をゆっくり上げ下げする

  • 椅子に座り、左右の膝を交互に少し持ち上げる

  • 安定した机や手すりにつかまり、その場でゆっくり足踏みする

  • 肘掛けや机を使い、椅子からゆっくり立ち座りする


回数を増やすことよりも、左右差や症状の変化を確認することを優先してください。動かない部分を反動で無理に持ち上げたり、痛みやしびれを我慢して続けたりする必要はありません。


運動中に痛みやしびれが強くなる、脚の力が抜ける、めまい、胸の痛み、息苦しさなどが出た場合は中止してください。


つま先がほとんど上がらず、歩くたびに床へ引っかかる場合は、自宅で歩行練習を増やす前に、医療機関やリハビリ専門職へ相談しましょう。



杖や歩行器で補えること、補えないこと

杖は、歩行時に身体を支え、バランスや脚への負担を補うための用具です。しかし、杖そのものが脚やつま先を持ち上げるわけではありません。


股関節や膝の痛みを補う場合には杖が役立つことがありますが、つま先を動かせない状態や、脚へ十分に力を入れられない状態では、杖だけで転倒の危険を解消できない可能性があります。


杖へ強く体重を預けなければ歩けない場合や、杖を使ってもふらつく場合は、一本杖では支えが足りず、歩行器などが適することもあります。原因と身体の状態を確認してから、必要な用具を選びましょう。


杖が適する状態や種類については「高齢者向けの杖の種類と選び方」で解説しています。一本杖では支えきれない場合は、「杖と歩行器の違い」も参考にしてください。



歩く負担を減らしたい場合は、歩行支援ロボットという選択肢もある



足が上がりにくい原因を確認したうえで、「もう少し楽に歩きたい」「外出や散歩を続けたい」と考える場合には、歩行をアシストする機器を活用する方法もあります。


WIM Sは、腰に装着して歩行をサポートする軽量の歩行支援ロボットです。装着する人の歩行状態に合わせて動きをアシストし、日常の歩行や歩行トレーニングなどで活用できます。

ただし、WIM Sは足が上がらない原因そのものを治療する医療機器ではありません。急に足へ力が入らなくなった場合や、痛み・しびれ、麻痺などがある場合は、補助機器を使う前に医療機関へ相談することが大切です。


原因や身体の状態を確認したうえで、歩くことを続けるための選択肢の一つとして検討してみてください。


足が上がらないときによくある質問


A:症状に気づいた時期や変化の速さ、右脚・左脚・両脚のどこに症状があるか、痛みやしびれの有無などを整理しておくと、医師へ状態を伝えやすくなります。歩き始めや階段など、症状が出やすい場面も確認しておきましょう。

A:「以前より歩幅が小さくなった」「片方の足を引きずっている」など、具体的な変化を医師へ伝えましょう。安全に撮影できる場合は、普段の歩き方を短い動画に残しておくと診察の参考になることがあります。撮影のために無理に歩かせる必要はありません。

A:つま先が段差や敷物に引っかかりやすくなるため、めくれたマットや電気コードなどを歩く場所から取り除きましょう。廊下や玄関、トイレなどを明るくし、脱げやすいスリッパを避けることも転倒予防につながります。



まとめ|原因を決めつけず、早めに確認することが安全につながる


「足が上がらない」という症状には、脚全体を持ち上げにくい状態、つま先だけが上がらない状態、痛みを避けて脚を出せない状態などが含まれます。


最初に確認したいのは、次の4点です。


  • いつから始まったか

  • 片側だけか、両脚か

  • 脚全体とつま先のどちらが上がらないか

  • 痛み、しびれ、こわばりなどを伴うか


急に力が入らなくなった、突然歩けなくなった、顔や言葉の異常を伴う、転倒後に脚の付け根が痛んで立てないといった場合は、様子を見ずにすぐ医療機関へ相談してください。


緊急性が高くない場合も、症状が続く、悪化する、片側だけ動かしにくいときは、整形外科やかかりつけ医への相談が必要です。原因を調べている間は、転倒を防ぐ環境調整を優先しましょう。


早めに原因を確認することは、急ぐべき病気を見逃さないためだけではありません。治療やリハビリ、環境調整、福祉用具など、その人に必要な選択肢を適切な時期に選ぶことにつながります。

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