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高齢者の転倒予防|住まいの点検と運動の基本、相談の目安

GLOBIZ WELLNESS
12 時間前
読了時間: 12分

転倒予防は、普段の通り道を整えることと、身体や薬の変化を確認すること、状態に合う運動を組み合わせて進めます。


この記事の点検表は、本人だけでも家族と一緒でも使えます。寝室からトイレなど、いつもの1経路から今日直す場所を一つ選び、相談したいことと分けて記録します。運動の基本例や相談先、転倒後の対応も紹介します。


  • 住まいを点検し、最初の改善を決める


  • 運動の種類と座って行う基本例を知る


  • 身体・薬・住まいの相談を準備する


  • すでに転んだ場合の対応を確認する


急にふらついて立っていられない、突然片方の手足に力が入らない、ろれつが回らない場合は、運動などで様子を見ず119番通報を優先してください。


本記事は、厚生労働省・消費者庁・消防庁、自治体、国民生活センター、国立長寿医療研究センターなどの公開資料を参考にしています。WIM Sの情報は、販売元の公式案内に基づきます。


転倒予防は、住まいと身体の両方から進める


転倒には、段差や滑りやすい床だけでなく、筋力・バランス能力の低下、見えにくさ、関節の痛み、病気や薬の影響などが関係します。住まいと身体の両面から、困っていることに対処します。


以前よりつまずく、立ち上がるとふらつく、痛みが続く場合は、かかりつけ医などへ相談します。食事量が減っているなど、栄養面の変化も一緒に伝えましょう。


まず、困る場所と動作を一つ選ぶと、取り組むことを具体的にできます。原因を調べるために危険な動作を再現したり、支えなしで片脚立ちを試したりする必要はありません。


住まいはいつもの1経路から|場所ごとに危険を減らす


寝室から廊下を通ってトイレへ移動する経路を点線で示した住まいの概念図

寝室からトイレ、居間から玄関など、普段よく使う経路を一つ選びます。本人が困る場所を思い浮かべながら、床の物や明かり、敷物、支えの状態を確認してください。家族が手伝う場合も、無理に歩いてもらわず、使いにくい場所を聞きながら進めましょう。


下の表で、選んだ経路に関係する行を探してください。


場面

確認すること

自分で安全にできる改善

相談したいこと

夜間のトイレ移動

足元や段差が暗くないか

明かりを確保し、通路のコードをよける

立ち上がるとふらつく、支えが必要なら身体と動作を相談

居間・廊下

荷物や敷物をよけて歩いていないか

通路の物や不要な敷物を減らす

片づけてもつまずく場合は身体の状態を相談

浴室・脱衣所

濡れた床、マットのずれ、出入りの不安がないか

床とマットの状態を整える

浴槽をまたぐのが難しい、手すりが使いにくい場合は設備と動作を相談

玄関・階段

段差が見えるか、手すりを使えるか

明るさを確認し、床や階段の物を片づける

手すり・段差対策の追加や変更が必要なら改修方法を相談

室内の歩行

履物が脱げる、滑ることがないか

普段の履物を見直す

履物を変えても歩きにくい場合は身体と用具の適合を相談

椅子やベッドから立つ

支えのぐらつきや立ちにくさがないか

不安定な家具を支えにしない

高さや支え方が合わない場合は調整を相談


表を見たら、今日直すことを一つ選びます。 例えば「寝室からトイレへの通路に荷物がある」なら、まず荷物を通路から移します。「立つとふらつく」場合は、医療機関に伝える項目として記録します。家具を動かすなど負担の大きい作業は、手伝いを頼んでください。


一つ変えたら、本人と使いやすさを確かめ、次に直す場所を決めます。


記録欄


  • 確認日:____ 選んだ経路:____から____まで


  • 困る場所・動作:____


  • 今日直す1点:____


  • 自分では決めず相談すること/相談先:____/____


  • 再確認する日:____ 改善後も使いにくいこと:____


この表は、生活上の困り事を整理するもので、転倒リスクを点数で判定する検査ではありません。場所別の見直し方は、次の項目で紹介します。


寝室からトイレは、明かりと立ち上がる場所を確認する


寝室からトイレまでの片づいた通路を、足元の明かりで確認する空間イメージ

ベッドの周囲から寝室の出口、廊下、トイレまで、足元が見える明かりを確保します。足元灯のコードは、通路を横切らない位置に置きます。


起き上がった直後に急いで歩き出さず、体勢を変えるときはゆっくり動きます。支えは固定された手すりなど安定したものを使い、動きやすい椅子やぐらつく家具につかまるのは避けてください。ベッドや椅子の高さが合わず立ちにくい場合は、調整を相談する項目に残します。


居間と廊下は、床の物やめくれた敷物を見直す


通るたびによけている新聞やバッグ、日用品は通路から移します。電気コードが歩く場所に出ないよう、電気製品の配置も見直します。


カーペットやマットの端がめくれたり、ずれたりしていれば整えます。通路の邪魔になる不要な敷物は取り除きます。


家具や日用品を移す前に、本人が毎日どこで何を使っているかを聞きます。一度に配置を変えすぎず、毎日使う物の新しい置き場所を一緒に決めます。


浴室と脱衣所は、濡れた床と出入りの動作を確認する


浴室と脱衣所の床や出入口を確認するための空間イメージ

床に残った水やせっけんの泡を取り除き、マットのずれや端のめくれを整えます。滑り止め製品は使用場所と使い方を確かめ、不安定な状態では使いません。


浴槽をまたぐ・向きを変えるのが難しい、手すりが使いにくい場合は、設備と身体の動かし方の両方を相談します。家族が腕を引いて無理に介助するのは避けてください。


玄関と階段は、段差・手すり・履物を確認する


雨の日の店の入口で足元を確認する場面のイメージ

段差が見える明るさがあるか、手すりを使えるか、靴を履く場所や階段に荷物がないかを確認します。手すりの位置や段差対策を変える場合は、自己流で施工せず、改修方法を相談しましょう。


脱げやすいスリッパや、靴下で滑りやすい床など、普段の足元を見直します。履物は足のサイズに合い、靴底が滑りにくいものを選びます。


買い物先では、雨の日の入口や濡れた床、段差、床の商品箱が転倒のきっかけになることがあります。 通りにくい場所は無理に進まず、店員に安全な通り方を尋ねてください。


転倒予防の運動は、筋力・バランス・柔軟性を組み合わせる


高齢者の転倒予防には、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動が推奨されています。筋力運動は身体を支えたり動かしたりする筋肉を使い、バランス運動は姿勢の安定、ストレッチは柔軟性を保つことを目指します。


始める前に、体調と運動する場所を確認する


痛みや強いふらつきがある、運動で悪化しそうな持病や関節の問題がある場合は、始める前に医師などへ相談してください。すでに運動の制限や指示を受けている場合は、その内容を優先します。


運動する場所は、滑りにくく、周囲に空間があり、椅子や支持物が安定している場所を選びます。体調が悪い日は始めません。座っていても姿勢を保ちにくい場合は、実施方法を医師や理学療法士などに相談します。


座って行う筋力運動の例|つま先上げ・ひざ伸ばし


次の2例は、東京都の転倒骨折予防プログラムの冊子14~15ページに掲載された運動です。


運動と目的

基本の動き

原資料の目安と注意

つま先上げ:すねの筋肉を使う

安定した椅子の前半分に座る。かかとは床につけたまま、4つ数えてつま先をすねの方へ上げ、続く4つで戻す

10~20回程度、または「ややきつい」と感じる回数が資料の目安。かかとを浮かせない

ひざ伸ばし:太もも前面の筋肉を使う

椅子に浅く座って両手で縁を持つ。上体をまっすぐ保ち、4つ数えて片膝を伸ばし、続く4つで戻す。反対側も同様に行う

回数目安は上と同じ。痛みを我慢して伸ばさない


回数は目安です。 回数をこなすより、息を止めず、反動をつけずにゆっくり動かすことを優先します。痛みが出る場合は中止します。運動中に胸痛、めまいやふらつき、動悸、強い痛みなどの異変があれば中止し、症状に応じた医療対応を優先してください。


バランスや柔軟性の運動も、身体に合う方法を確認する


つま先上げ・ひざ伸ばしは筋力運動です。同じ教材には、柔軟性やバランスを保つ運動も紹介されています。


  • 柔軟性の運動:筋肉をゆっくり伸ばす。 冊子13ページには、椅子に座って脚の後ろ側を伸ばすストレッチや、股関節を開く例があります。力を入れて鍛える筋力運動とは目的が異なります。


  • バランスの運動:体重の移動に合わせて姿勢を保つ。 冊子17ページのステップ運動は、足を踏み出し、その脚へ体重を移す練習の例です。立って身体を動かすため、座位の筋力運動とは違う難しさがあります。


立つとふらつく場合や不安がある場合は、一人で立位の運動を試さず、医師や理学療法士などと身体に合う方法を選びます。教材の図は、PDFの表示枚数ではなく、紙面に印刷されたページ番号を目印に探せます。


地域の転倒予防教室や介護予防教室に問い合わせるときも、「座った運動はできるが、立つと不安定」「この動作では膝が痛む」など、困ることを具体的に伝え、運動内容と参加条件を確認します。


つまずきやふらつきが続くときは、身体や薬の変化を相談する


お薬手帳や生活のメモを使って専門職に相談するイメージ

繰り返す転倒や続く痛み・ふらつきは、住まいの改善と並行して、かかりつけ医などへ相談します。


いつ・どこで困るかを、医療機関に伝える


相談時には、住まいの点検記録とあわせて次のメモを使えます。覚えている範囲でよく、記録のために危険な動作を試す必要はありません。


  • 変化に気づいた時期/転倒・つまずきの頻度:____


  • 起こりやすい場所・動作:____


  • 痛み・しびれ・めまいなど/転倒でぶつけた場所:____


  • 最近追加・変更された薬:____


  • 環境を改善しても残る困り事:____


相談したいこと

主な相談先

繰り返す転倒、続く痛みやふらつき

かかりつけ医などの医療機関

薬の変更後の眠気・ふらつき、服薬への疑問

処方した医師・薬剤師

住まいの使いにくさ、介護予防や生活支援

地域包括支援センターなどの生活相談窓口


足が上がらない症状が気になる方に向けて、次の関連記事で原因と受診の目安を紹介しています。ただし、急な片側の脱力などがある場合は、記事を読み進めるより救急対応を優先してください。


薬の変更後に気になる症状があれば、医師や薬剤師へ


薬による眠気やふらつきなどが転倒に関係することがあります。ただし、薬が原因かどうかは本人や家族だけで判断できません。変更後から気になる症状が出た場合も、自己判断で服用を中止したり量を減らしたりせず、処方した医師や薬剤師へ相談します。


相談にはお薬手帳を持参し、市販薬やサプリメントの使用も伝えましょう。症状が出る時間帯などをメモしておくと、薬との関係を確認する際の参考になります。


住まいや杖・歩行器の使いにくさも、専門職に相談する


手すりが使いにくい、ベッドから立ちにくい、杖や歩行器が身体や通路に合わないと感じる場合は、福祉用具専門相談員に伝えます。本人の希望、心身の状態、住環境に応じて、用具の選び方や使い方の助言を受けられます。痛みやふらつきなど身体の状態は、医師や理学療法士などに相談します。


相談先に迷う場合や、住まい・介護・生活支援をまとめて相談したい場合は、本人が住む地域の地域包括支援センターが窓口になります。高齢者の総合相談や介護予防の支援を行い、必要な支援につなぎます。



転んだときは、予防の点検よりけがへの対応を優先する


転倒したときは、すぐに起こしたり歩かせたりせず、呼びかけへの反応や痛み、出血などを確認します。強い痛みや変形、腫れがある場合は、痛む場所を無理に動かさず医療につなげてください。


呼びかけに反応がない場合は119番通報し、通信指令員の指示に従ってください。 ろれつが回らない、急な片側の脱力などがある場合も119番を優先します。


頭を打った場合は、直後に普段どおりでも医療機関へ相談してください。歩けても骨折している場合があります。転倒後の痛みが続くときは受診し、一度診てもらった後でも再び相談してください。


救急車を呼ぶか、すぐ受診するか迷う場合は、地域の救急相談窓口を活用します。#7119の対応地域・時間は消防庁の案内で確認できます。緊急症状があるときは、相談窓口の応答を待たず119番通報してください。


歩行の状態に合ったサポートを選ぶ


歩くときに身体を支える道具が必要なら、杖や歩行器が選択肢になります。片手で扱う杖と、両手で操作する歩行器では、支え方や使いやすい場所が異なります。歩行の状態、手の使いやすさ、家の通路や外出先に合わせて、専門職と選ぶことが大切です。


杖の種類や選び方は、次の関連記事で紹介しています。


歩行器の種類や基本は、次の関連記事で紹介しています。


一方、身体を支える用具とは別に、自分で歩ける方の歩行動作を補助する機器もあります。WIM Sは腰に装着するタイプの一例で、歩く動きに合わせて補助力を調整します。杖や歩行器の代わりに身体を支えたり、転倒を防ぐ効果を約束したりするものではありません。



高齢者の転倒予防について、よくある質問


A:一律の順番はありません。通路の荷物を移すなど、安全にできる改善から取りかかれます。運動は体調に合う方法を選び、痛みやふらつきがあれば先に医療機関へ相談します。すでに転んでけがをした可能性があるなら、けがへの対応を優先します。

A:歩けても骨折している場合があります。転倒後の痛みが続くときは受診し、一度診てもらっていても再び相談してください。頭を打った場合も、直後に普段どおりでも医療機関へ相談してください。

A:外出を一律にやめる必要はありません。本人が続けたい活動に合わせ、経路や必要な支援を整えます。安全に歩ける範囲が分からないときは、医師や理学療法士などに相談して決めます。


まとめ|住まい・運動・相談から、今取り組む一つを決めよう


高齢者の転倒予防は、住まいの危険を減らし、身体や薬の変化を確認しながら、状態に合う運動を組み合わせて進めます。点検表で選んだ1点を直す、体調に合う運動を選ぶ、続くふらつきを受診時に伝えるなど、今の困り事に合う行動から始めます。


「ここが使いにくい」「この場所へ行きたい」という本人の希望を出発点に、できる改善と必要な支援を選びます。記録した日に使いやすさを振り返り、残った困り事を次の相談で伝えてください。

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