シルバーカーと歩行器の違いは?歩行車との見分け方と選び方も解説
更新日:8月28日

シルバーカーや歩行器ってどちらを選べばよいのか迷う方は少なくありません。どちらも手で押して使うため見た目はよく似ていますが、役割は大きく異なります。
シルバーカーは、「自分で歩ける方の買い物や散歩を助ける道具」です。
一方、歩行器は、身体を支えながら歩く必要がある方のためにつくられています。身体の状態に合わないものを選ぶと、十分な支えにならず、転倒につながるおそれもあります。
この記事では、シルバーカーと歩行器の違い、見た目がよく似た「歩行車」との見分け方、本人の状態に合う道具を選ぶための目安をわかりやすく解説します。
まずは、両者の一番大きな違いから見ていきましょう。
シルバーカーと歩行器の一番の違いは「身体を支えられるか」

一番の違いは、体重を預けて身体を支えられるかどうかです。
シルバーカー:自分で歩ける方が、荷物運びや休憩のために使う道具
歩行器:身体を支えながら歩く必要がある方のための福祉用具
主な違いを表で見てみましょう。
比較項目 | シルバーカー | 歩行器 |
|---|---|---|
主な目的 | 荷物運び・休憩の補助 | 歩行の支え・安定 |
身体を支える構造 | ない(支える前提ではない) | ある |
向いている方 | 自分で安定して歩ける方 | 歩行に支えが必要な方 |
ハンドルの形 | 身体の前で押すバー型が多い | 身体を囲むコの字型が多い |
車輪・ブレーキ | 四輪・ブレーキ付き | タイプにより異なる |
座面・収納 | 付いていることが多い | 付く製品もある |
主な使用場所 | 主に屋外 | 屋内・屋外の両方 |
介護保険での扱い | 対象外 | 対象(福祉用具貸与) |
「シルバーカー」は、買い物や散歩を助ける手押し車
シルバーカーは、基本的には自分で立って歩ける方が、買い物や散歩の負担を減らすために使う手押し車です。荷物を載せて運べるほか、疲れたときに座って休める製品もあります。
手で押すことで歩きやすく感じることはありますが、体重を預けて身体を支える道具ではありません。ここが歩行器との大きな違いです。
「歩行器」は、身体を支えながら歩くための道具
歩行器は、両手や前腕(ひじから手首までの部分)で身体を支えながら歩くための福祉用具です。杖だけでは不安がある方が、歩くときの支えとして使います。
体重を預けることを前提に、フレームが身体の前や左右を囲むようにつくられています。
見た目がよく似た「歩行車」は歩行器の仲間
特に見分けにくいのが「歩行車」です。四輪で、ハンドルやカゴ、座面が付いた歩行車は、シルバーカーとよく似ています。
歩行車は、身体を支えながら押して歩けるようにつくられた歩行器の一種です。介護保険でも「歩行器」として扱われます。見た目ではなく、身体を支える構造があるかどうかで見分けましょう。
なお、固定型・交互型・前腕支持型といった歩行器のタイプ別の詳しい違いは、別の記事で詳しく解説しています。
座面やカゴだけでは見分けられない|確認したい3つのポイント

ハンドルの形は見分ける手がかりになります。ただし、座面やカゴ、車輪の数だけでは判断できません。次の3つのポイントを順に確認しましょう。
1.まずはハンドルの形を見る
最初の手がかりになるのは、ハンドルの形です。
身体を囲むような「コの字型」ハンドル → 歩行器の可能性が高い
身体の前で押す「バー型」ハンドル → シルバーカーの可能性が高い
身体を囲む形は、体重を預けたときに支えやすいつくりです。ただし、製品によって形はさまざまなので、ハンドルだけで決めつけないようにしましょう。
2.四輪・座面付きでも歩行器のことがある
「座面が付いているからシルバーカー」
「四輪だからシルバーカー」
とは限りません。
歩行器の仲間である歩行車にも、座面やカゴの付いた製品が多くあります。
付属品の有無だけでは、どちらか判断できません。
3.「体重を預けられる造りか」を確認する
商品名や売り場での呼び方は、メーカーや販売店によって異なることがあります。名前だけで決めず、体重を預けて身体を支えられるつくりかを確認してください。
見分けられないときは、商品の説明書やメーカーの案内を確認するか、福祉用具専門相談員に相談しましょう。
あなたに合うのはどっち?3つのケースで選び方を確認

違いが分かっても、「本人にはどちらが合うのか」で迷うことがあります。目的や歩くときの様子から、順に確認してみましょう。
荷物運びや休憩が目的なら「シルバーカー」
シルバーカーは、体重を預けられるつくりになっていません。買い物や散歩の負担を減らしたい方に向いています。
支えがなくても、安定して立ち、歩ける
荷物を持って歩くことに負担を感じる
散歩や買い物の途中で休憩したい
主に屋外で使用したい
ブレーキや方向転換を自分で操作できる
歩くときに身体の支えが必要なら「歩行器」
歩行器は、「自分の体重を預けることで歩くことをサポートしてもらうための道具」です。
以下のようなことがあれば、歩行器を検討してください。
杖だけでは歩行に不安がある
両手や腕で身体を支える必要がある
歩行中や方向転換のときにふらつく
屋内での移動にも支えが必要
シルバーカーに強く寄りかかってしまう
転倒や操作に不安があるときは、「先に専門家へ相談」
次のような場合は、ご本人やご家族だけで決めず、まず専門職に相談しましょう。身体の状態に合わない道具を使うと、転倒につながるおそれがあります。
最近転倒した、または転びそうになったことがある
道具が身体より先へ進んでしまう
ブレーキを十分に操作できない
病気・けが・手術の後で歩き方が変化した
認知機能や視力の低下があり、操作に不安がある
こうした場合は、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、理学療法士などの専門職が、身体状態に合った道具を提案してくれます。
シルバーカーを歩行器代わりにすると危険な理由
歩行に不安がある方が、見た目の似ているシルバーカーを歩行器代わりに使うのは避けましょう。主な理由は次の3つです。
体重をかけると、動いたり傾いたりすることがある
シルバーカーは「支える道具」ではないため、体重をかけると本体が動いたり傾いたりすることがあります。寄りかかった拍子にバランスを崩し、転倒につながるおそれがあります。
坂道では本体だけが先に進むことがある
四輪のシルバーカーは、坂道や傾斜のある場所では動きやすく、身体より先に進んでしまうことがあります。とっさにブレーキをかけにくい方は、特に注意が必要です。
「まだ歩行器は早い」と見た目だけで決めない
「歩行器を使うのはまだ早い」「見た目が気になる」と感じ、シルバーカーを選びたくなることもあります。ただし、大切なのは本人の歩き方や身体の状態に合っていることです。歩行器にも見た目がすっきりしたものもありますので、抵抗感がある場合はデザインも含めて相談してみましょう。
介護保険が使えるのは歩行器・歩行車
費用面でも大きな違いがあります。介護保険でレンタルできるかどうかを確認しておきましょう。
歩行器・歩行車は、介護保険でレンタルできる
歩行器(歩行車を含む)は、介護保険の「福祉用具貸与」の対象です。要支援1の方から原則レンタルでき、自己負担は所得に応じて1〜3割です。
シルバーカーは介護保険レンタルの対象外
一方、シルバーカーは「身体を支える構造」という要件を満たさないため、原則として介護保険レンタルの対象外です。購入する場合は、全額自己負担が基本となります。
シルバーカーの購入費を助成する自治体もある
ただし、自治体によってはシルバーカーの購入に独自の助成を設けている場合があります。全国共通の制度ではないため、お住まいの市区町村に確認してみてください。
介護保険レンタルの費用や申請手順、購入との比較は、こちらの記事で詳しく解説しています。
購入・レンタルの前に、本人と一緒に確かめたい5つのこと

シルバーカーか歩行器かが決まっても、製品によって高さや重さ、操作のしやすさは異なります。購入やレンタルの前に、できるだけ本人が実際に試して確認しましょう。
1.無理のない姿勢で押せる高さか
ハンドルやグリップが高すぎたり低すぎたりすると、前かがみになったり、力を入れにくくなったりします。本人が自然な姿勢で握れる高さに調整できるか確認しましょう。
2.止まりたいときに止まり、無理なく曲がれるか
本人がブレーキを握れるか、狭い場所でも方向を変えられるか、車輪が速く進みすぎないかを試します。特に、止まりたいときにすぐ止められることが大切です。
3.自宅やよく行く場所で使いやすいか
実際に使う場所を思い浮かべながら、次の点を確認しましょう。
廊下やドアの幅
曲がり角
敷居や段差
坂道
砂利道や濡れた路面
4.毎日扱える重さか、簡単に折りたためるか
玄関での保管や車への積み込み、家族が持ち運ぶ場面も考えて、本体の重さと折りたたみ方を確認します。毎日無理なく扱えることが大切です。
5.座面や収納を安全に使えるか
座面付きの製品は、座る前に必ずブレーキをかけること、座面に人を乗せたまま押さないことなど、基本的な使い方を守ることが安全につながります。
具体的なおすすめの歩行器は、こちらの記事で比較しています。
迷ったら、遠慮なくプロに頼ってください
本人に合う道具を判断しにくいときは、専門職に相談すると安心です。現在の状況に合わせて、以下のような相談先を頼りましょう。
介護認定を受けている方は、担当のケアマネジャーへ。ケアプランに沿って福祉用具を提案してもらえます
どの製品にするか具体的に選びたい場合は、福祉用具専門相談員へ。身体と住環境に合った製品を調整してくれます
歩き方や身体の状態が気になる:理学療法士などのリハビリ専門職へ
退院を控えている方:入院先の病院のリハビリ担当者や相談員へ
本人が実際に試したうえで専門職の意見も聞くと、生活に合うものを選びやすくなります。
【新しい選択肢】身体に着けるタイプの歩行サポートもあります

シルバーカーや歩行器のように、手で押して使う道具とは別に、身体に装着して足の動きをアシストする機器もあります。
装着型の歩行支援ロボット「WIM S」は、腰に装着する約1.6kgの軽量タイプで、両手を空けたまま歩行動作をサポートします。歩行器の代わりではなく、支援の仕組みが異なる選択肢です。本人の目的や身体の状態に合うか、専門職にも相談しながら検討しましょう。
シルバーカーと歩行器でよくある質問
Q. 歩行車とシルバーカーは何が違いますか?
A. 歩行車は身体を支える構造を持つ歩行器の一種で、介護保険上も「歩行器」に含まれます。シルバーカーは身体を支える前提がなく、自力で歩ける方の荷物運びや休憩のための道具です。見た目は似ていますが、役割が異なります。
Q. シルバーカーを歩行器の代わりに使えますか?
A. おすすめできません。シルバーカーは体重を預けることを想定していないため、寄りかかると本体が動いて転倒につながるおそれがあります。歩行に支えが必要な方は、歩行器が合うか専門職に相談してください。
Q. シルバーカーに座った人を乗せて押せますか?
A. できません。シルバーカーや歩行車の座面は、あくまで休憩用です。人を乗せたまま押すと、転倒や製品の破損につながるおそれがあります。座るときは必ずブレーキをかけ、停止した状態で使いましょう。
Q. シルバーカーは介護保険でレンタルできますか?
A. 原則としてできません。シルバーカーは「身体を支える構造」の要件を満たさないため、介護保険の福祉用具貸与の対象外です。ただし自治体独自の購入助成がある場合もあるため、お住まいの市区町村にご確認ください。
Q. 介護認定がなくても歩行器を使えますか?
A. 使えます。介護保険の適用はありませんが、自費でのレンタルや購入はどなたでも可能です。将来に備えて、要介護認定の申請と並行して検討する方法もあります。
Q. シルバーカーから歩行器へ替える目安はありますか?
A. 「シルバーカーに寄りかかってしまう」「歩行中にふらつく」「押している本体が先に進んでしまう」といった様子が見られたら、支えが足りていないサインかもしれません。歩行器への切り替えを、専門職に相談してみてください。
まとめ|迷ったら「身体を支える必要があるか」で考える
最後に、要点を3つに整理します。
シルバーカーは、安定して歩ける方の荷物運びや休憩を助ける道具
歩行器は、身体を支えながら歩く必要がある方のための福祉用具
判断に迷う場合は、購入・レンタルの前に本人が試し、専門職へ相談する
選ぶときの大切な基準は、「身体を支える必要があるかどうか」です。荷物運びや休憩が目的ならシルバーカー、歩くときの支えが必要なら歩行器を検討します。迷ったときは本人だけで決めず、実際に試しながら専門職へ相談しましょう。




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