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杖は介護保険の対象?一般的な杖が対象外となる理由とレンタル・購入できる杖

  • GLOBIZ WELLNESS
  • 7 時間前
  • 読了時間: 9分

杖の購入を検討するときに「介護保険って使えないのかな?」と考える方はたくさんいらっしゃいます。


杖は介護用品として売られているので、介護保険を使えて安く買えたら助かりますよね。


ところが、一般的なT字杖や棒状杖は、介護保険の対象外なんです。


介護保険を利用できるのは、松葉杖、腕を支えるクラッチ類、杖先が複数に分かれた多点杖など、制度上の「歩行補助つえ」に該当するものに限られます。


2024年4月からは、一部の歩行補助つえについて、レンタルだけでなく購入も選べるようになりました。ただし、松葉杖や一般的なT字杖は、この選択制には含まれません。


この記事では、杖の形から介護保険の対象になりそうかを見分ける方法と、実際に利用するまでの流れを解説します。



介護保険を使える杖・使えない杖

介護保険の対象外となる一般的なT字杖と、対象となる松葉杖・クラッチ類・多点杖の比較図


まずは、主な杖の介護保険での扱いを整理します。


杖の種類

介護保険でのレンタル

介護保険を利用した購入

一般的なT字杖・棒状杖

対象外

対象外

カナディアン・クラッチ

利用できる

選択できる

ロフストランド・クラッチ

利用できる

選択できる

プラットホームクラッチ

利用できる

選択できる

多点杖

利用できる

選択できる

松葉杖

利用できる

選択制の対象外


持ち手がT字になっているかどうかだけでは判断できません。


たとえば、持ち手がT字でも、杖先が3点や4点に分かれていれば多点杖に該当する可能性があります。反対に、折りたたみ式や伸縮式であっても、一般的な一本脚のT字杖であれば介護保険は使えません


商品名だけでは種類が分かりにくい場合は、杖全体と先端部分の写真、商品名、型番を用意し、福祉用具専門相談員や指定事業者に確認すると確実です。



一般的なT字杖・棒状杖が介護保険の対象外となる理由


一般的なT字杖が介護保険の対象にならないのは、「価格が安いから」「自分で購入しやすいから」と制度上決められているためではありません。


厚生労働省の基準で、介護保険の貸与対象となる「歩行補助つえ」が、次の種類に限られているためです。


  • 松葉杖

  • カナディアン・クラッチ

  • ロフストランド・クラッチ

  • プラットホームクラッチ

  • 多点杖


この中に、一般的なT字杖や棒状杖は含まれていません。


そのため、次のような機能が付いていても、一般的なT字杖であれば扱いは変わりません。


  • 折りたたみ機能

  • 高さ調節機能

  • 軽量素材

  • 自立を補助する杖先

  • 「介護用」「高齢者向け」という商品表示


ただし、自立を補助する小さな杖先部品が付いているだけで、多点杖に該当するとは限りません。介護保険を利用したい場合は、購入前に商品ごとの確認が必要です。



介護保険の対象になる歩行補助つえ


対象となる杖は、形状や身体の支え方によって分けられています。



松葉杖

松葉杖は、脇当てと手元のグリップで身体を支える杖です。けがや手術後など、脚にかける体重を減らしたい場合に使われます。


介護保険ではレンタルできますが、2024年4月に始まったレンタル・購入の選択制には含まれていません。



クラッチ類

クラッチ類には、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチがあります。手だけでなく上腕や前腕でも身体を支える杖で、3種類とも介護保険の対象です。



多点杖

杖先が3点や4点などに分かれた杖です。一般的なT字杖よりも広い範囲で床に接地します。


ただし、段差や傾斜では複数の杖先が均等に接地せず、かえって扱いにくくなることもあります。屋内で使いやすい杖が、そのまま屋外でも使いやすいとは限りません。


クラッチ類と多点杖はレンタル・購入を選べる

介護保険対象のクラッチ類・多点杖についてレンタルと購入の選び方を比較した図


2024年4月から、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖については、介護保険を利用したレンタルと購入のどちらかを選べるようになりました。


厚生労働省の資料で「単点杖(松葉づえを除く)」と表記されることがありますが、一般的なT字杖が新たに対象となったわけではありません。選択制の対象となる単点杖は、制度上の対象に含まれるクラッチ類です。


レンタルか購入かは、本人や家族が、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員から説明を受けたうえで選びます。利用期間、費用、身体状態の変化、購入後の管理などについて説明を受けたうえで選択します。


例えば、どのくらい使うかまだ分からない、身体の状態が変わっていきそうという場合は、レンタルが選択肢になります。点検や交換などの対応を受けやすいのもメリットです。


一方、同じ杖を長く使う見込みなら、購入の方が総負担を抑えられることがあります。返却や契約の手間を避けたい方や、身体の状態が比較的安定している方にも、購入が向く場合があります。


介護保険を利用した場合の自己負担は、原則として費用の1割で、所得によって2割または3割です。


介護保険を利用して購入できる福祉用具の支給限度額は、同一年度で10万円です。杖だけでなく、同じ年度に購入したほかの特定福祉用具との合計額で計算されます。



要支援1・2、要介護1でも歩行補助つえを利用できる


「要介護2以上でなければ、杖をレンタルできないのでは」と心配する方もいらっしゃると思います。


介護保険の福祉用具貸与には、要支援1・2、要介護1の人が原則として利用できない種目があります。しかし、歩行補助つえは、その原則除外の対象ではありません。


利用の必要性は、ふらつきや転倒の状況、杖を使う場所、身体の状態などをもとに判断します。


そのため、要支援1・2や要介護1でも、本人の生活に必要と判断されれば利用できます。



介護保険を使って杖を利用するまでの流れ

介護保険で杖を利用するまでの相談・福祉用具の確認・利用方法決定の3ステップ


介護保険を利用したい場合は、通販などで先に購入せず、次の順に進めます。



1.ケアマネジャーなどへ相談する

担当のケアマネジャーがいる場合は、まず連絡します。


要支援認定を受けている人や、相談先が分からない人は、地域包括支援センターまたは市区町村の介護保険窓口へ問い合わせましょう。


相談するときは、次の情報を伝えると状況を共有しやすくなります。


  • 要支援・要介護の認定区分

  • 杖を使いたい場所

  • 歩くときの困りごと

  • 転倒やふらつきの状況

  • 現在使っている杖

  • 検討している商品の写真や型番

  • 医師や理学療法士から受けた助言

  • 一時的な使用か、長く使う予定か


たとえば、次のように伝えられます。


「要支援2の認定を受けています。外を歩くときにふらつきがあり、T字杖を検討しています。自費でT字杖を購入すればよい状態なのか、介護保険対象の多点杖やクラッチが必要なのか、福祉用具専門相談員にも見てもらいたいです。」


杖の正式名称が分からなくても問題ありません。写真や商品ページを見せれば、種類を確認しやすくなります。



2.福祉用具専門相談員と候補を確認する

福祉用具専門相談員が、本人の身体状態、生活環境、希望などを確認し、適した用具を提案します。


可能であれば、次の点を実際に試して確認しましょう。


  • 無理なく持ち上げられるか

  • グリップやカフを扱えるか

  • 高さが合っているか

  • 廊下や段差を安全に通れるか

  • 屋外でも使いやすいか

  • 杖より歩行器などが適していないか

杖を選ぶ際に確認したい持ち上げやすさ・グリップ・高さ・段差・屋外利用などのポイント


3.利用方法と事業者を決める

クラッチ類や多点杖の場合は、レンタルと購入の説明を受けて選択します。


介護保険を利用して購入する場合は、指定特定福祉用具販売事業者から購入する必要があります。一般の通販サイトなどで先に購入すると、給付を受けられません。


契約前に、次の点を確認してください。


  • レンタル時の月額負担

  • 購入時の自己負担

  • 点検や交換の範囲

  • 購入後の修理や調整

  • 申請に必要な書類

  • 支払いが償還払いか受領委任払いか



T字杖が対象外だった場合は介護保険以外の制度を調べてみよう

一般的なT字杖が介護保険対象外だった場合に自治体や障害福祉の制度を確認する流れ

一般的なT字杖は介護保険の対象外ですが、自治体によっては、独自の高齢者福祉事業として杖の給付や購入費の助成を行っています。


ただし、全国共通の制度ではありません。対象となる杖も、一般的な一本杖、多点杖、反射材の付いた安全杖など自治体によって異なります。年齢、介護認定、所得、身体状況などの条件も一律ではありません。


たとえば、山形県鶴岡市では、介護保険とは別の「転ばない生活支援事業」を実施しています。市内で在宅生活を送る65歳以上の介護保険被保険者のうち、要支援・要介護認定を受けておらず、基本チェックリストの運動機能項目に該当する人が対象です。多点杖の購入費の2分の1、上限5,000円が助成されます。


香川県丸亀市では、70歳以上で歩行時に杖を必要とする高齢者に、反射テープの付いた「老人交通安全つえ」を支給しています。自治体によっては購入費を助成するのではなく、市が用意した杖を現物で給付する場合もあります。


このように、介護認定を受ける前の人を対象とした制度もあれば、年齢と歩行状態を条件に杖を給付する制度もあります。一般的なT字杖が介護保険の対象外でも、すぐに自費購入すると決めず、住んでいる自治体の制度を一度確認しておくとよいでしょう。


自治体のWebサイトでは、次のように市区町村名を入れて検索します。


  • 「市区町村名 杖 給付」

  • 「市区町村名 高齢者 杖 助成」

  • 「市区町村名 交通安全つえ」

  • 「市区町村名 介護保険外 福祉用具」


制度の対象となる場合でも、申請前に購入すると助成を受けられないことがあります。商品を注文する前に、申請の順番と指定事業者の有無を確認してください。



障害がある人は日常生活用具給付の対象になることもある

身体障害者手帳を持っている人や、障害福祉サービスの対象となる難病がある人などは、市区町村が実施する「日常生活用具給付等事業」を利用できる場合があります。


たとえば福岡市では、身体障害者手帳などの交付を受けている人や、対象となる難病のある人を日常生活用具給付の対象とし、T字状・棒状のつえも対象用具として扱っています。自己負担は原則1割ですが、所得に応じた負担上限があり、市民税非課税世帯などは負担が0円となる場合があります。申請は購入前に行う必要があります。


ただし、この制度は、加齢によって歩きにくくなった人なら誰でも利用できるものではありません。障害の種類や程度、手帳の有無、難病の状態など、自治体が定める要件を満たす必要があります。


該当する可能性がある場合は、市区町村の障害福祉担当へ、次の内容を伝えて確認します。


  • 身体障害者手帳などの有無

  • 障害や難病の種類

  • 要支援・要介護認定の有無

  • 必要としている杖の形

  • すでに購入しているか

  • ほかの制度を利用しているか


高齢者向けの独自制度と障害福祉制度は、対象者も対象用具も異なります。問い合わせる際は、「杖への助成はありますか」だけでなく、一般的なT字杖、多点杖など、どの種類が対象になるのかまで確認しましょう。


まとめ|まず杖の形を確認し、購入前に相談する


残念ながら一般的なT字杖や棒状杖には、介護保険を使えません。


介護保険の対象となるのは、松葉杖、3種類のクラッチ、多点杖です。このうちクラッチ類と多点杖は、2024年4月からレンタルと購入を選べるようになりました。


要支援1・2、要介護1の人も、本人に必要と判断されれば歩行補助つえを利用できます。


まずは手元の商品や検討中の杖の形を確認し、写真や型番を用意して、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談しましょう。対象外のT字杖を使う場合も、保険の可否だけで決めず、本人の身体と使用場所に合っているかをしっかり確認して、ベストな杖を探してみてください。


杖に関しては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。



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