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シルバーカー(手押し車)とは?種類・選び方・歩行器との違いまで徹底解説

GLOBIZ WELLNESS
10月13日
読了時間: 21分
シルバーカーを押して買い物に出かける高齢女性


そんなときに候補にあがるのが、シルバーカー(手押し車)です。


シルバーカーは、自分で歩ける方の外出を助ける手押し車のことです。荷物を運べるだけでなく、疲れたら座って休める製品も多くあります。


ただ、歩行器との違いや種類が分かりにくく、「どれを選べばいいの?」と迷う方も少なくありません。


この記事では、シルバーカーの基本から、種類・選び方・購入場所・安全な使い方まで、検討に必要な情報をまとめて解説します。ご本人はもちろん、親御さんのために探しているご家族の方も、ぜひ参考にしてください。


シルバーカーとは?高齢者の外出を支える手押し車


まずは、シルバーカーがどんな道具なのかを整理しましょう。呼び方や向いている人を先に押さえておくと、このあとの種類選びがぐっと分かりやすくなります。


シルバーカーの主な役割|荷物運び・休憩・歩行サポート


シルバーカーの役割は、大きく3つあります。荷物運び、途中での休憩、そして歩行のサポートです。


年齢を重ねると、買い物の荷物を持って歩くだけでも大きな負担になります。シルバーカーがあれば、荷物はカゴに入れて押すだけ。両手がふさがらず、足元にも集中できます。


たとえば、スーパーまで片道15分の道のり。行きは平気でも、帰りは荷物で肩や腰がつらい——そんな場面で力を発揮します。座面付きの製品なら、ベンチのない道でも腰をかけて一息つけます。


ただし、シルバーカーは体重を預けて身体を支える道具ではありません。あくまで「自分で歩ける方の外出を、もっと楽にする道具」と覚えておきましょう。


「手押し車」「老人車」との呼び方の違い


「高齢者用の手押し車」「老人車」——呼び方はさまざまですが、どれも基本的にシルバーカーと同じものを指します。


「手押し車」という言葉は範囲が広く、赤ちゃんの歩行練習用のおもちゃや、工事現場の一輪車を指すこともあります。そのため、高齢者向けの製品は「シルバーカー」という名前で区別されているのです。


たとえば、通販サイトや売り場では「シルバーカー(手押し車)」と併記されているのをよく見かけます。地域によっては「老人車」「シルバーカート」と呼ぶ方もいます。


お店やインターネットで探すときは、「シルバーカー」で検索すると目的の商品にたどり着きやすいですよ。


シルバーカーが向いている人|自立歩行できることが前提


シルバーカーが向いているのは、支えがなくても自分で安定して歩ける方です。


次のような方は、シルバーカーを検討する価値があります。


  • 荷物を持って歩くことに負担を感じる

  • 散歩や買い物の途中で座って休みたい

  • 外出の機会をこれからも減らしたくない


一方で、歩くときにふらつく方や、何かに寄りかかりたい方には向いていません。シルバーカーには身体を支える構造がないためです。


たとえば、「壁や手すりを伝って歩くことが増えた」という場合は、シルバーカーではなく歩行器が候補になります。詳しくは次の章で解説しますので、ご本人の状態と照らし合わせてみてください。


SGマーク(SG基準)は安全性と対象者の目安


製品選びで迷ったら、SGマークの有無を1つの目安にしましょう。


SGマークとは、製品安全協会という第三者機関の安全基準に合格した製品につけられる印のことです。SG基準では、シルバーカーは「歩行が自立した方が使う製品」と定められています。


つまり、SGマーク付きを選ぶことは、安全性の確認と同時に、「この道具は自分で歩ける方向け」という前提の再確認にもなるのです。


たとえば、マークは本体に貼られたシールで確認できます。万が一、製品の欠陥で事故が起きた場合の賠償制度も用意されています。


店頭で複数の製品を比べるときは、まずSGマークを探してみてください。


シルバーカーと歩行器・歩行車・買い物カートの違い

シルバーカー・歩行車・買い物カート・シニアカーの用途の違いを比較した図

シルバーカーとよく間違えられる道具は、主に3つあります。違いを知らずに選ぶと、身体に合わず転倒につながることも。ここでしっかり整理しておきましょう。


歩行器・歩行車との違い|体重を支えられるかどうか


一番の違いは、体重を預けて身体を支えられるかどうかです。


シルバーカーには、身体を支える構造がありません。一方、歩行器は身体を支えながら歩くための福祉用具です。福祉用具とは、介護や自立支援のために使われる、国の基準で定められた道具を指します。


特に紛らわしいのが「歩行車」です。四輪でカゴや座面が付いた歩行車は、見た目がシルバーカーとそっくり。しかし、身体を支えられるつくりの歩行車は、歩行器の仲間に分類されます。


たとえば、身体を囲むコの字型ハンドルなら歩行器系、身体の前で押すバー型ならシルバーカーの可能性が高いです。


見分け方や選び方の詳細は、別の記事で詳しく解説しています。




介護保険でレンタルできるのは歩行車|シルバーカーは対象外


費用面での大きな違いが、介護保険でレンタルできるかどうかです。


歩行器・歩行車は、介護保険の「福祉用具貸与」の対象です。要支援1の方から原則レンタルでき、自己負担は所得に応じて1〜3割で済みます。


一方、シルバーカーは「身体を支える構造」という要件を満たさないため、原則として介護保険レンタルの対象外です。購入する場合は、全額自己負担が基本となります。


たとえば、歩行車を月々数百円の負担で借りている方でも、シルバーカーは2〜3万円ほどを自費で購入することになります。


ただし、自治体によっては購入費の助成制度がある場合も。補助金やレンタルの詳しい仕組みは、別の記事で解説しています。




買い物カート・ショッピングカートとの違い


買い物カートとの違いは、歩行のサポートを前提に設計されているかどうかです。


買い物カートは、あくまで荷物を運ぶための道具です。ブレーキや座面がない製品が多く、歩行の安定までは考えられていません。一方、シルバーカーはブレーキや座面を備え、押しながら安定して歩けるよう設計されています。


たとえば、軽い2輪の買い物カートは、坂道で手を離すと転がっていくおそれがあります。休憩したくても、腰かける場所はありません。


「まだシルバーカーは早いけれど、買い物の荷物だけ何とかしたい」という方には、高齢者向けの買い物カートも選択肢になります。詳しくは別の記事で紹介しています。




シニアカー・電動車いすとの違い


シニアカーとの違いは、自分の足で歩くかどうかです。


シニアカーとは、ハンドルを操作して進む電動の乗り物で、正式にはハンドル形電動車いすと呼ばれます。運転免許は不要で、歩行者として歩道を移動できます。


シルバーカーが「歩くことを助ける道具」なのに対し、シニアカーは「移動そのものを機械に任せる乗り物」です。たとえば、長い距離を歩くことが難しくなった方には、シニアカーが選択肢になります。


なお、シニアカーとは逆に、自分の足で歩くことを前提として、身体に装着して歩行をサポートする「歩行補助ロボット」という機器もあります。詳しくは別の記事で解説しています。




シルバーカーの種類|4つのタイプと特徴

ボックス・ミドル・コンパクト・ワゴンの4種類のシルバーカーを比較した図

シルバーカーは、大きさと使い方によって4つのタイプに分かれます。それぞれ得意な場面が異なるので、ご自身の生活を思い浮かべながら読み進めてください。


ボックスタイプ|収納力と安定した座面


ボックスタイプは、収納力と座り心地を重視する方に向いた定番の形です。


箱型の大きな収納部があり、買い物した物をたっぷり入れられます。座面も幅広く安定しているため、外出先でしっかり休憩したい方に人気です。


そのぶん本体は大きめで、重さは4〜6kg程度が中心。安定感がある反面、持ち上げたり車に積んだりする場面ではやや負担になります。


たとえば、「週に2〜3回まとめ買いをする」「帰り道では必ず座って休む」という方にはぴったりです。


昔ながらの基本形なので、初めてのシルバーカー選びで迷ったら、まずこのタイプから検討してみましょう。


ミドルタイプ|収納と扱いやすさのバランス


ミドルタイプは、収納力と扱いやすさのバランスが取れた中間サイズです。


ボックスタイプより幅がスリムで小回りが利き、コンパクトタイプより収納や座面がしっかりしています。「どちらの良さも欲しい」という声に応える形といえます。


本体の重さは4kg前後が中心。毎日の買い物と散歩を1台でこなしたい方に向いています。


たとえば、スーパーの狭い通路や人の多い商店街では、スリムな車体が扱いやすさを発揮します。座面付きなら、途中の休憩も問題ありません。


ボックスかコンパクトかで迷ったときは、まずミドルタイプを基準にして、収納量や重さを前後させながら比べると選びやすいです。


コンパクトタイプ|軽量で小回り重視


コンパクトタイプは、軽さと持ち運びやすさを最優先したい方に向いています。


重さは3kg前後からと軽量で、折りたたむと小さくまとまります。バスや電車に乗るときや、車のトランクに積むときも扱いやすいのが魅力です。


そのかわり、収納スペースや座面は小さめです。製品によっては座面がないものもあるので、休憩を重視する方は確認が必要です。


たとえば、「電車で通院する」「玄関が狭くて大きな物は置けない」という方には、コンパクトタイプがよく合います。


軽さを取るか、収納と座り心地を取るか。ご自身の外出スタイルを思い浮かべながら選んでみてください。


U字型ハンドルタイプという選択肢


コンパクトタイプを検討するなら、U字型ハンドルの製品も候補に入れてみましょう。


U字型ハンドルとは、身体を前から軽く囲むような形のハンドルのことです。両手を自然な位置で添えられるため、まっすぐな姿勢を保ちながら押しやすいのが特徴です。


たとえば、バー型ハンドルだと前かがみになりがちな方でも、U字型なら身体の近くで押せるので、楽に感じることがあります。


ただし、形が歩行器に似ていても、体重を預ける道具ではない点は他のシルバーカーと同じです。あくまで「押しやすさの工夫」と考え、寄りかかる使い方は避けましょう。試し押しできる店舗で、バー型と比べてみるのがおすすめです。


ワゴン・ショッピングカートタイプ|買い物に特化した横押し型


買い物が外出の中心なら、ワゴンタイプやショッピングカートタイプが便利です。


ワゴンタイプは収納部が大きく、スーパーの買い物カゴをそのまま載せられる製品もあります。ショッピングカートタイプには、身体の横で押せる「横押し型」が多く、狭い通路や人混みでもすれ違いやすいのが特徴です。


たとえば、毎日の食材の買い出しで両手いっぱいの荷物になる方なら、大容量のワゴンタイプが頼りになります。


ただし、このタイプは座面のない製品が多めです。散歩や休憩も兼ねたい方は、座面付きのボックスタイプやミドルタイプと比べてから決めると失敗がありません。


シルバーカーの選び方|失敗しない4つのチェックポイント


タイプの目星がついたら、次は製品ごとの比較です。これから紹介する4つのポイントを順に確認すれば、「身体に合わない」という失敗を防げます。


ハンドルの高さ|身長に合わせて調整できるか

シルバーカーの適切なハンドル高さと、低すぎて前かがみになる姿勢の比較

選び方で最も重要なのが、ハンドルの高さです。


高さが合っていないと、前かがみの姿勢になったり、腕に余計な力が入ったりします。目安は、腕を自然に下ろして、肘が軽く曲がる程度の高さ。多くの製品は数段階で調整できます。


たとえば、身長150cm台の方と160cm台のご夫婦で共用したい場合は、調整幅の広い製品を選ぶと2人とも無理なく使えます。


購入前には、実際に調整して押してみるのが一番確実です。カタログの数値だけで決めず、「自然な姿勢で握れるか」をご本人の身体で確かめてください。姿勢が楽になると、歩くこと自体が今より快適になりますよ。


重さと折りたたみ|持ち運び・保管のしやすさ


本体の重さと折りたたみやすさは、毎日の使い勝手に直結します。


シルバーカーは、段差で持ち上げたり、バスに乗せたり、玄関で折りたたんで保管したりと、意外と「持つ」場面が多い道具です。ご本人が無理なく扱える重さかを確認しましょう。


たとえば、通院で車に積む機会が多いなら、軽量で折りたたみ時の高さが低い製品が扱いやすいです。ご家族が積み下ろしを手伝う場合でも、軽いほうが負担は減ります。


目安として、頻繁に持ち運ぶなら3kg台、家の周りでの使用が中心なら4〜5kg台でも問題ありません。「どこで、誰が持つか」を具体的に思い浮かべて選んでください。


車輪・ブレーキ・座面|安全性のチェックポイント


安全面では、車輪・ブレーキ・座面の3点をセットで確認しましょう。


車輪は走行の安定性、ブレーキは「止まりたいときに止まれるか」、座面は「休憩中にぐらつかないか」に関わります。どれか1つでも身体に合わないと、転倒のリスクにつながります。


たとえば、座面付きの製品でも、駐車ブレーキの効きが甘いと、座った瞬間に本体が動いてしまうことがあります。座るときは必ずブレーキをかける習慣とあわせて、ブレーキ自体の効き具合も確認が必要です。


特に大切な「前輪の大きさ」と「ブレーキの操作性」については、次で詳しく説明します。店頭では、この2つを重点的に試してみてください。


前輪の大きさで決まる段差の越えやすさ


段差の多い道をよく歩くなら、前輪の直径15cm以上を目安にしましょう。


前輪が小さいと、歩道のわずかな段差や側溝のふたの溝に引っかかりやすくなります。つまずいてバランスを崩す原因になるため、車輪の大きさは見た目以上に重要です。


たとえば、点字ブロックの上や、ひび割れたアスファルトの道。直径の大きな前輪なら、こうした凸凹もスムーズに越えられます。


一方、前輪と後輪の間隔が狭い製品は、小回りが利きやすくなります。段差の多い屋外中心なら大きな前輪、店内など狭い場所中心なら小回り重視と、よく歩く道を思い出しながら選んでください。


走行用・駐車用ブレーキの操作性


ブレーキは、「走行用」と「駐車用」の2種類の役割を確認してください。


走行用ブレーキは、歩きながら手元のレバーで速度を抑えるためのもの。駐車用ブレーキは、座って休むときや停めておくときに車輪を固定するためのものです。


たとえば、坂道の多い地域にお住まいなら、軽い力で握れる走行用ブレーキが安心です。駐車用は、タイヤを直接ロックする方式だと、座ったときに本体がぐらつきにくくなります。


大切なのは、ご本人の握力で無理なく操作できるかどうか。握力が弱くなってきた方は、店頭でレバーの硬さを必ず試してから選びましょう。


デザイン|「シルバーカーに見えない」おしゃれなタイプも


デザインも、長く使い続けるための大切な選択基準です。


「いかにも介護用品という見た目が恥ずかしい」と感じて、せっかく買っても使わなくなってしまう——実はよくある失敗です。最近は、シルバーカーに見えないおしゃれなデザインの製品が増えています。


たとえば、落ち着いた無地やチェック柄、スタイリッシュな細身フレーム、男性向けのシックな色合いなど、選択肢はさまざま。「これなら持って歩きたい」と思える1台を探してみてください。


デザイン重視の選び方は、別の記事で詳しく紹介しています。


なお、「押して歩く道具」そのものに抵抗がある場合は、身につけて歩くウェアラブルタイプの歩行支援ロボットという選択肢もあります。詳しくは記事の後半で紹介します。


結局どれを選べばいい?生活シーン別のおすすめタイプ


結論から言うと、「どこで・何のために使うか」で選べば失敗しません。シルバーカーは高機能な1台より、生活に合う1台を選ぶことが大切です。下の表で、ご自身に近い状況から候補を絞ってみてください。


こんな状況の方

おすすめのタイプ

買い物が中心。帰り道は座って休みたい

ボックスタイプ

買い物も散歩も1台で。商店街など狭い道が多い

ミドルタイプ

バス・電車での外出や、車への積み込みが多い

コンパクトタイプ

まとめ買いで荷物が多い。休憩用の座面は不要

ワゴン・ショッピングカートタイプ

見た目に抵抗があり、使うのをためらっている

シルバーカーに見えないおしゃれなタイプ、または装着型の歩行支援ロボット(この後の章で紹介)

歩くときにふらつく・道具に寄りかかってしまう


たとえば、「週3回の買い物がメインで、帰りはベンチ代わりに座りたい」なら、ボックスタイプが第一候補です。迷ったときは、中間のミドルタイプを基準に比べると選びやすくなります。


最後は必ず試し押しをして、身体に合うことを確かめてから決めましょう。


シルバーカーはどこで買える?販売店と価格相場


選ぶ基準が分かったら、いよいよ購入です。実店舗とネット通販それぞれの特徴と、価格の目安を押さえておきましょう。


実店舗で買う|ホームセンターやニトリの取扱状況


実店舗で買う最大の利点は、購入前に実物を試せることです。


シルバーカーは、カインズやコーナンなどのホームセンター、介護用品店、大型スーパーなどで販売されています。店頭なら、ハンドルの高さ調整やブレーキの操作を、その場で確かめられます。


一方、注意したいのがニトリです。ニトリでは本格的なシルバーカーの取り扱いは少なく、買い物カートが中心。「ニトリで見たものを買おう」と考えている方は、それがどちらのタイプか確認しましょう。


たとえば、まず近くのホームセンターで試し押しをしてサイズ感をつかみ、それから比較する、という進め方がおすすめです。店舗ごとの取扱状況は、別の記事で詳しくまとめています。




ネット通販・介護用品専門店で買う


品揃えの豊富さで選ぶなら、ネット通販や介護用品の専門店が有力です。


店頭は展示スペースの都合で、置ける台数が限られます。通販なら、色やタイプの選択肢が幅広く、価格の比較や口コミの確認も簡単です。


たとえば、「店頭で試して気に入った製品の型番を控え、ネットで価格を比べて買う」という方法なら、試せる安心と価格の納得を両立できます。


ただし、初めてのシルバーカーで身体に合うか不安な方は、福祉用具専門相談員のいる介護用品専門店が安心です。福祉用具専門相談員とは、身体や住環境に合った道具選びを助言してくれる専門の相談員のこと。オンラインで相談できる店舗もありますよ。


価格相場は1万〜3万円台が中心


シルバーカーの価格相場は、1万〜3万円台が中心です。


シンプルなコンパクトタイプなら1〜2万円前後、収納や座面が充実したボックスタイプは2〜3万円前後が目安。軽いアルミ素材や多機能な製品になると、3万円を超えるものもあります。


価格の差は、主に素材の軽さと機能の充実度です。たとえば、同じボックスタイプでも、スチール製よりアルミ製のほうが軽く、そのぶん価格は上がります。


毎日使う道具ですから、安さだけで決めるのは禁物です。「身体に合うこと」を最優先に、そのうえで予算内の製品を比べる、という順番で選ぶと後悔がありません。


購入前に試したいならレンタルという方法も


「買ってから合わなかったらどうしよう」と不安な方は、レンタルで試す方法もあります。


シルバーカーは介護保険レンタルの対象外ですが、自費でのレンタルを扱う介護用品店やレンタル事業者があります。月額制で借りられるので、購入前のお試しにぴったりです。


たとえば、まず1か月借りて、いつもの買い物ルートで使ってみる。段差の越えやすさや重さの感覚は、実際の生活道路で使ってこそ分かります。


「試してから買う」流れなら、高い買い物での失敗をぐっと減らせます。レンタルの探し方や費用の考え方は、補助金の情報とあわせて別の記事で解説しています。




シルバーカーの安全な使い方と注意点

シルバーカーを身体の近くで押す姿勢と、離しすぎて前かがみになる姿勢の比較

良い製品を選んでも、使い方を誤ると転倒につながります。購入後に意識したい3つのポイントを紹介します。


正しい姿勢と押し方|体重を預けすぎない


基本の姿勢は、背筋を伸ばし、本体を身体の近くに引き寄せて押すことです。


シルバーカーは身体を支える道具ではありません。体重を預けて寄りかかると、本体だけが先に進み、バランスを崩すおそれがあります。手はハンドルに軽く添える意識で歩きましょう。


たとえば、本体が身体から離れすぎていると、自然と前かがみになり、腕だけで押す形になります。歩き出す前に、「本体を近くに、背筋をまっすぐ」と確認する習慣をつけてください。


もし最近、無意識に寄りかかっていると感じたら、それは道具を見直すサインかもしれません。この後の章で切り替えの目安を紹介します。


段差・坂道・雨の日の注意点


段差・坂道・雨の日は、特に注意が必要な3つの場面です。


段差は、正面からまっすぐ進入するのが基本です。斜めに入ると車輪が引っかかり、バランスを崩しやすくなります。


坂道では、本体だけが先に進もうとします。下り坂では走行用ブレーキで速度を抑え、急な坂はできるだけ避けた経路を選びましょう。


雨の日は、濡れたマンホールや点字ブロックの上で車輪が滑りやすくなります。ブレーキの効きも悪くなるため、外出自体を控えるのも1つの判断です。


たとえば、いつもの買い物ルートを一度見直して、「段差が少なく、坂の緩い道」を定番コースにしておくと安心ですよ。


よくある疑問|「シルバーカーを使うと腰が曲がる」は本当?


「シルバーカーを使うと腰が曲がる」と心配する声がありますが、正しく使えば過度に心配する必要はありません。


問題は道具そのものではなく、使い方にあります。ハンドルが低すぎる、体重を預けて寄りかかる——こうした使い方が、前かがみの姿勢を習慣にしてしまうのです。


たとえば、ハンドルを適切な高さに調整し、背筋を伸ばして押せば、前かがみは防げます。荷物を手に持たずに歩けるぶん、姿勢を保ちやすいという面もあります。


もし使ううちに前かがみが強くなってきたと感じたら、まず高さを再確認してください。それでも気になる場合は、理学療法士などの専門職に歩き方を見てもらうと安心です。


シルバーカーが合わなくなってきたら|次の選択肢


シルバーカーは、ずっと同じものを使い続ける道具ではありません。大切なのは、身体の状態に合わせて道具を見直すこと。ここでは2つの方向性を紹介します。


歩行車・歩行器への切り替えを検討するサイン


次のような様子が見られたら、身体を支えられる歩行車・歩行器への切り替えを検討しましょう。


  • シルバーカーに寄りかかって歩いている

  • 歩行中や方向転換のときにふらつく

  • 本体だけが先に進んでしまう

  • ブレーキ操作が間に合わないことがある


これらは、「支えが足りていない」サインです。そのままシルバーカーを使い続けると、転倒のリスクが高まります。


たとえば、歩行車なら介護保険でのレンタル対象になるため、月々の負担を抑えながら身体に合う道具を試せます。担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に、早めに相談してみてください。


歩行器の種類や選び方は、別の記事で詳しく解説しています。




歩行支援ロボットという新しい選択肢

WIM Sを装着して歩く女性

ここまで紹介したシルバーカーは、手で押しながら使う道具です。一方で、身体に装着し、脚の動きそのものをアシストする歩行支援機器もあります。


「シルバーカーを押して歩くのは、まだ抵抗があるなぁ」という方もいらっしゃると思います。そのときの選択肢に、ぜひ加えていただけたらと思います。


当社の装着型歩行支援ロボット「WIM S」は、腰に装着する約1.6kgの軽量な製品で、歩行動作をアシストします。シルバーカーのように本体を押しながら歩く必要がないため、前かがみになりにくく、両手を自由に使いながら歩けるのが大きな特徴です。


さらに、脚の振り出しをサポートすることで、自然に歩幅を広げやすく、良い歩行姿勢を意識しながら歩くトレーニングにも活用できます。散歩や外出など、日常生活の中で使いやすいことも装着型ならではのメリットです。


WIM Sをシルバーカーの代わりとして全面的におすすめすることはできません。ご本人の目的や身体の状態に合うかを確認し、必要に応じて専門職へ相談しながら検討してください。



シルバーカーでよくある質問


最後に、シルバーカーの検討でよく寄せられる質問にお答えします。


A:基本的に同じものを指します。「手押し車」は範囲の広い言葉で、高齢者向けの製品が「シルバーカー」と呼ばれます。地域によっては「老人車」と呼ぶこともあります。

A:原則としてできません。身体を支える構造の要件を満たさないため、福祉用具貸与の対象外です。自治体独自の購入助成がある場合もあるので、お住まいの市区町村にご確認ください。詳しくは別の記事で解説しています。



A:1万〜3万円台が中心です。軽量なアルミ素材や多機能な製品は、3万円を超えることもあります。自費レンタルで試してから購入する方法もあります。

A:年齢に決まりはありません。目安は年齢ではなく、支えなしで安定して歩けるという歩行の状態です。荷物や休憩に負担を感じ始めたときが、検討のタイミングです。

A:持ち込めます。車内では折りたたんで乗車するのが基本です。公共交通での移動が多い方は、軽量で折りたたみやすいコンパクトタイプを選ぶと安心です。

A:あります。黒やネイビーなど落ち着いた色合いで、シルバーカーに見えないデザインの製品が増えています。詳しくは別の記事で紹介しています。



まとめ|自分に合ったシルバーカー(手押し車)で外出をもっと快適に


最後に、この記事の要点を3つに整理します。


  • シルバーカー(手押し車)は、自分で歩ける方の買い物や散歩を助ける道具。歩行器との違いは「体重を預けて身体を支えられるかどうか」

  • 種類はボックス・ミドル・コンパクト・ワゴンの4タイプ。「どこで・何のために使うか」から選び、最後は必ず試し押しで確認する

  • シルバーカーは介護保険レンタルの対象外。迷ったら専門職に相談する


シルバーカーは、「歩ける今」を長く続けるための心強い相棒です。身体に合う1台を選んで、買い物や散歩をこれからも楽しんでください。


ご家族の方は、ぜひご本人と一緒に売り場へ足を運び、試し押しから始めてみましょう。/

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