電動歩行器とは?種類・選び方・介護保険の利用条件と代表製品「WIM S」を解説

そんな悩みから、電動歩行器を調べ始めた方も多いのではないでしょうか。
電動歩行器は、モーターの力で歩行を支える福祉用具です。上り坂を押し上げてくれる手押し型のほか、身体に装着して脚の動きを支える装着型も登場しています。
この記事では、電動歩行器の仕組みや種類、向いている人、選び方、介護保険の使い方までを順に解説します。最後に、代表的な製品として装着型の「WIM S」もご紹介します。
「自分にはどのタイプが合うのか」が分かるように、状態別のおすすめまで具体的にまとめました。購入やレンタルを決める前の確認に、ぜひお役立てください。
電動歩行器とは
電動歩行器とは、モーターやセンサーの力で歩行を補助する道具の総称です。まずは、基本的な仕組みと、似た道具との違いを整理しておきましょう。
違いを先に押さえておくと、「自分に必要なのは本当に電動タイプなのか」を判断しやすくなります。普通の歩行車で十分な方もいれば、電動カートのほうが合う方もいるからです。
たとえば、平らな道を短時間歩くだけなら、電動機能のない歩行車でも困らないことがあります。一方、自宅の周りに坂道が多い方は、電動のアシストが役立つ場面が増えます。
つまり、電動歩行器は「誰にでも必要な道具」ではなく、「特定の場面で力を発揮する道具」です。このあと、仕組み・歩行器との違い・シルバーカーや電動カートとの違いの順に見ていきます。
電動歩行器の基本的な仕組み
電動歩行器は、センサーが人の動きや道の傾きを読み取り、モーターで力を足したり、速度を抑えたりする仕組みです。
理由は、歩く人の力だけでは負担が大きい場面を、機械が自動で補うように設計されているからです。人が操作ボタンを押し続ける必要はなく、歩く動きに合わせて自動で働きます。
たとえば、RT.ワークスの「ロボットアシストウォーカー RT.2」は、ハンドルのセンサーで押す力を検知します。上り坂では押す力を補い、下り坂では自動でブレーキがかかります。
装着型の場合は、腰まわりの機器が脚の動きを読み取り、振り出しをサポートします。どちらも「歩くのは本人、足りない力を機械が補う」という考え方は共通しています。
自分の足で歩く機会を保ちながら、負担の大きい場面だけを助けてもらう。それが電動歩行器の基本的な役割です。
一般的な歩行器・歩行車との違い
一般的な歩行器・歩行車との一番の違いは、坂道や傾いた道での「力の調整」を機械が担ってくれる点です。
歩行車とは、車輪の付いたフレームに体重を預けて押し歩く福祉用具のことです。電動機能のない歩行車は、上り坂では自分の力で押し上げ、下り坂ではブレーキを握って速度を抑えます。
たとえば、下り坂で歩行車だけが先に進んでしまい、ヒヤッとした経験がある方もいるかもしれません。電動アシスト歩行車なら、下り坂で自動的に減速するため、こうした場面の負担を軽くできます。
一方で、電動タイプは本体が重くなり、価格も高くなりがちです。「坂道や傾斜が多いかどうか」が、電動を選ぶかどうかの大きな分かれ目になります。平らな道が中心なら、まずは普通の歩行車と比べてみるのがおすすめです。
シルバーカー・電動カートとの違い
シルバーカーや電動カートは、見た目が似ていても、電動歩行器とは役割が異なります。
シルバーカーとは、自分で安定して歩ける方が、荷物運びや休憩のために使う手押し車のことです。体重を支える構造ではないため、介護保険の福祉用具貸与の対象外です。
電動カートは、ハンドル形電動車いすとも呼ばれ、座ったまま移動する乗り物です。歩行の補助ではなく、歩く代わりに移動する道具にあたります。
たとえば、「自分の足で歩き続けたい」なら電動歩行器、「長い距離を歩くのが難しい」なら電動カートが候補になります。目的が「歩くこと」なのか「移動すること」なのかで、選ぶ道具は変わります。
見た目や名前が似ていても、支え方と使う目的はそれぞれ違います。迷ったときは、この違いに立ち返って考えてみてください。
電動歩行器の種類と特徴
電動歩行器は、大きく「手押し型」と「装着型」の2つに分かれます。両者は支え方がまったく違うため、向いている人も異なります。
理由は、手押し型が「道具に体重を預けて歩く」のに対し、装着型は「身体に着けて脚の動きを助ける」ものだからです。
たとえば、ふらつきがあって支えが必要な方には、体重を預けられる手押し型が向いています。自分の足で歩けるけれど疲れやすい方には、装着型が選択肢になります。まずは、ご本人がどちらに近い状態かを考えながら読み進めてみてください。
同じ「電動歩行器」という名前でも、使い方や使う場面はかなり違います。ここからは、それぞれの特徴を詳しく見たうえで、状態別にどちらを選べばよいかまで解説します。
手押し型(電動アシスト歩行車)
手押し型は、歩行車にモーターとセンサーを組み込んだタイプで、電動歩行器として広く知られています。
理由は、見た目や使い方が一般的な歩行車とほぼ同じで、これまで歩行車を使っていた方も移行しやすいからです。介護保険の福祉用具貸与の対象になっている製品もあります。
たとえば、RT.ワークスの「ロボットアシストウォーカー RT.3」は、重さ約10kgで、ワンタッチで折りたためます。座面や荷物入れも付いており、買い物や散歩で使いやすいつくりです。
フランスベッドの「ロボットアシストスマートウォーカー RW-01」も、上りのアシストと下りの自動減速を備えています。メーカーによって機能の名前は違いますが、基本的な考え方は共通しています。手押し型の主な機能を、次で詳しく見ていきましょう。
上り坂のアシストと下り坂の自動減速

手押し型の中心となる機能が、上り坂でのパワーアシストと、下り坂での自動減速です。
理由は、坂道が歩行車を使う方にとって、最も負担と不安が大きい場面だからです。上り坂では腕と脚に力が必要になり、下り坂では本体が先に進みやすくなります。
たとえば、スーパーへ行く途中にゆるい坂がある場合を考えてみてください。上りではモーターが押す力を補い、下りでは速度を抑えるため、自分のペースを保ちやすくなります。
アシストの強さは、利用者に合わせて設定を変えられる製品が多くあります。導入時に福祉用具専門相談員と一緒に調整してもらうと安心です。
坂道で外出をあきらめていた方にとって、上りと下りの両方を支えてくれることは大きな安心材料になります。まずは普段の外出ルートで試してみましょう。
片流れ防止・自動停止などの安全機能
手押し型には、坂道のアシスト以外にも、転倒を防ぐための安全機能が備わっています。
代表的なのが「片流れ防止」です。片流れとは、道が左右に傾いているときに、歩行車が低い方へ流されてしまう現象のことです。電動タイプは、この流れを自動で抑えます。
たとえば、RT.3には、坂道で手を離すと自動で止まる機能があります。速度が上がりすぎたことを検知して、ブレーキをかける機能も備えています。
歩道の水はけのための傾きや、急に手が離れてしまう場面は、日常の中でよくあります。こうした「ヒヤッとする瞬間」への備えがあることも、電動タイプを選ぶ理由のひとつです。
ただし、安全機能があっても転倒の危険がなくなるわけではありません。使い始めは、家族や専門職が付き添うと安心です。
装着型(ウェアラブル歩行アシスト)
装着型は、腰や脚に機器を着けて、歩く動きそのものを支えるタイプです。ウェアラブルとは、身体に身につけて使う機器のことを指します。
理由は、「道具を押して歩く」のではなく、「自分の脚で歩く動きを補助する」という発想で作られているからです。本体を押し運ぶ必要がありません。
たとえば、グロービズの「WIM S」は、装着部を含めて約1.6kgの装着型歩行支援ロボットです。腰に装着し、脚の振り出しをアシストします。
装着型は、手押し型ほど体重を預けることはできません。そのため、ある程度は自分の足で立って歩ける方が対象になります。「支えはそれほど必要ないけれど、歩くと疲れやすい」という方が主な対象です。次で、仕組みと使いやすさを見ていきましょう。
脚の動きをサポートする仕組み
装着型は、センサーで歩き方を読み取り、脚を前に出すタイミングに合わせて力を加える仕組みです。
理由は、歩くときに脚を前へ振り出す動作が、疲れや歩幅の狭さに関わりやすいからです。この動作を補うことで、歩きやすさを支えます。
たとえば、歩き始めてしばらくすると足が前に出にくくなり、歩幅が小さくなる方がいます。装着型は、その振り出しをモーターで後押しします。
ただし、感じ方には個人差があり、すべての方に同じように合うわけではありません。実際に着けて歩いてみて、自分の歩き方に合うかを確かめることが大切です。
歩く動きそのものを支えるという点が、道具を押して進む手押し型との大きな違いです。体験会などで、歩いたときの感覚を確かめてみましょう。
両手が空き、屋内外で使いやすい設計
装着型の大きな特徴は、両手が自由になり、場所を選びにくいことです。
理由は、本体を押して歩く必要がなく、身体と一緒に移動するからです。歩行車のように、置き場所や通路の幅を気にする場面が少なくなります。
たとえば、買い物で荷物を持つときや、手すりにつかまりたいときも、両手を使えます。車への積み込みや、玄関での出し入れの手間もかかりません。
一方で、体重を預けて支える機能はないため、ふらつきが強い方には手押し型のほうが合う場合があります。利用できる場所や環境は、製品ごとの案内を確認してください。
「身軽に歩きたい」「道具を押す姿に抵抗がある」という方にとって、装着型は検討する価値のある選択肢です。
状態・生活シーン別のおすすめタイプ
結論として、支えが多く必要なら手押し型、自分で歩けるけれど疲れやすいなら装着型がおすすめです。
理由は、両者の違いが「体重を預けられるかどうか」にあるからです。支えが必要な度合いと、よく歩く場所を組み合わせると、選ぶべきタイプが絞れます。
具体的には、次のように考えると分かりやすいでしょう。
ふらつきがあり、坂道の多い地域で外出する → 手押し型(電動アシスト歩行車)
支えは少しでよく、平らな道が中心 → 電動なしの歩行車や杖も候補
自分で歩けるが、長く歩くと疲れる・歩幅が狭くなる → 装着型
自力で歩く距離がごく短い → 電動カートや車いすも検討
迷ったときは、ケアマネジャーや理学療法士に今の状態を見てもらい、候補を絞りましょう。
電動歩行器が向いている人

電動歩行器は、「歩く力はあるけれど、特定の場面で負担や不安がある方」に向いています。
理由は、電動歩行器が歩行そのものを代わりに行う道具ではなく、足りない部分を補う道具だからです。まったく歩けない方より、歩く機会を保ちたい方に役立ちます。
たとえば、坂道のある通院路、少し遠いスーパーへの買い物、毎日の散歩などが代表的な場面です。こうした外出を「大変だからやめよう」と感じ始めたときが、検討のタイミングです。
外出が減ると、体力や歩く力が落ちやすくなります。早めに道具を見直すことが、歩ける毎日を保つことにつながります。ここでは、電動歩行器が特に向いている方の特徴を、3つの視点から見ていきます。
坂道や長距離の外出に不安がある人
自宅の周りに坂道が多い方や、少し長い距離を歩く必要がある方は、電動歩行器が役立ちやすいでしょう。
理由は、坂道の上り下りと距離の長さが、歩行車を使う方の負担を大きく左右するからです。電動のアシストで、この負担を軽くできます。
たとえば、坂の上に住んでいて、帰り道の上り坂がつらいために外出を控えている方がいます。手押し型の電動歩行器なら、上り坂で押す力を補ってくれます。
「行きたい場所があるのに、道のりが不安で行けない」。そんな状況を変えるきっかけとして、電動歩行器を検討してみてください。
歩く距離が長い方は、坂道のアシストに加えて、バッテリーの持ちや途中で座って休めるかどうかも確認しておくと安心です。
歩行器を使っていても疲れやすい人
すでに歩行器や歩行車を使っていて、すぐに疲れてしまう方にも、電動歩行器は選択肢になります。
理由は、疲れの原因が「道具を押す負担」なのか「脚の動きそのもの」なのかによって、合う電動タイプが変わるからです。
たとえば、歩行車を押す腕が疲れる方や、坂道で息が上がる方には手押し型が合います。一方で、歩いているうちに脚が前に出にくくなる方には、装着型が候補になります。
疲れやすさを我慢し続けると、外出の機会そのものが減ってしまいます。どこで一番疲れるのかを振り返り、専門職と相談しながらタイプを選びましょう。
「腕が疲れるのか、脚が疲れるのか」を家族と一緒に確認しておくと、相談もスムーズに進みます。
リハビリ専門職の支援の有無による活用方法の違い
電動歩行器の使い方は、理学療法士などのリハビリ専門職が関わっているかどうかで変わります。理学療法士とは、歩行などの基本動作の回復を支える国家資格の専門職です。
理由は、専門職の支援がある場合は、歩行の改善を目標にした使い方ができるからです。支援がない場合は、安全に外出を続けることが主な目的になります。
たとえば、訪問リハビリを受けている方なら、アシストの強さを段階的に調整しながら、歩く距離を少しずつ延ばす使い方ができます。支援がない方は、坂道の多い買い物ルートで安全に使うことを優先します。
どちらの場合も、ケアマネジャーを中心に、家族や福祉用具専門相談員と目標を共有することが大切です。
電動歩行器の選び方と導入時の注意点
電動歩行器は、「どこで・どれくらい歩くか」を軸に、重さやバッテリーを確認して選びます。
理由は、同じ電動歩行器でも、製品ごとに得意な場面や扱いやすさが違うからです。機能の多さだけで選ぶと、生活の中で使いにくくなることがあります。
たとえば、坂道のアシスト性能が高くても、本体が重くて玄関から出せなければ、使う機会は減ってしまいます。反対に、軽さを優先しすぎると、必要な支えが足りなくなる場合もあります。価格や介護保険が使えるかどうかも、選ぶうえで見逃せないポイントです。
大切なのは、機能とのバランスを生活に合わせて考えることです。ここでは、選ぶときに確認したい4つのポイントを順に解説します。
使う場所と歩行距離で選ぶ
まずは、電動歩行器を主にどこで、どれくらいの距離使うのかを整理しましょう。
理由は、使う場所と距離によって、必要な機能が大きく変わるからです。屋外の坂道で使うのか、屋内や平らな道が中心なのかで、選ぶタイプが異なります。
たとえば、毎日30分ほど坂のある道を散歩するなら、坂道アシストとバッテリーの持ちを重視します。家の中や近所の平らな道が中心なら、電動機能がなくても困らない場合があります。
普段の外出ルートを地図で確認し、坂道や段差、歩く時間を書き出してみてください。それだけで、必要な機能がぐっと見えやすくなります。
メモを持って相談すれば、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員も、生活に合う製品を提案しやすくなります。
重さ・折りたたみ・持ち運びやすさで選ぶ
次に、本体の重さと、折りたたんだときのサイズを確認しましょう。
理由は、手押し型の電動歩行器は、モーターやバッテリーを積んでいるぶん、一般的な歩行車より重くなるからです。出し入れや持ち運びの手間は、毎日の使いやすさに直結します。
たとえば、RT.2は約9kg、RT.3は約10kgです。どちらもワンタッチで折りたためますが、車に積む場合は家族が持ち上げる場面もあります。一方、装着型のWIM Sは約1.6kgで、身体に着けて使います。
玄関の段差や保管場所、車への積み込みまで想定し、本人と家族の両方が無理なく扱えるかを確かめましょう。
折りたたんだときの幅や高さも、収納場所に収まるかを事前に測っておくと安心です。
バッテリー持続時間と充電方法で選ぶ
電動歩行器を選ぶときは、1回の充電でどれくらい使えるかと、充電の手間も確認しておきましょう。
理由は、外出中にバッテリーが切れると、アシストがない状態で帰り道を歩くことになるからです。充電のしやすさは、使い続けられるかどうかにも関わります。
たとえば、RT.2とRT.3は、メーカーの標準的な歩行パターンで連続約4時間、充電は約3時間とされています。WIM Sは、アシストモードで約2時間使用でき、充電は約2時間です。
1日の外出時間と照らし合わせ、余裕のある製品を選ぶと安心です。夜のうちに充電する習慣をつけておくと、使い忘れも防げます。
なお、持続時間は坂道の多さや荷物の重さ、気温によっても変わります。カタログの数値は目安として考えておきましょう。
導入前にケアマネジャー・専門職へ相談する
電動歩行器を選ぶ前に、必ずケアマネジャーや専門職に相談しましょう。
理由は、身体の状態に合わない製品を選ぶと、かえって転倒につながるおそれがあるからです。アシストの強さや速度の設定も、専門的な視点で調整したほうが安全です。
たとえば、ケアマネジャーとは、介護保険サービスの計画を立てて調整する専門職のことです。福祉用具専門相談員は、用具の選定や使い方の説明を担当します。
多くの福祉用具事業者では、自宅で試せるお試し利用を行っています。実際の外出ルートで試してから決めると、購入やレンタル後の「こんなはずでは」を防げます。
相談のときは、よく行く場所や困っている場面を具体的に伝えると、より合った提案を受けられます。
電動歩行器の費用と介護保険の利用

電動歩行器は、購入すると一般的な歩行車より高額ですが、条件を満たせば介護保険でレンタルできる製品もあります。
理由は、手押し型の一部が、介護保険の福祉用具貸与の対象として認められているからです。福祉用具貸与とは、介護保険を使って福祉用具を1〜3割の自己負担でレンタルできる制度です。
たとえば、RT.2やRT.3は、メーカーが介護保険の福祉用具貸与の対象と案内しています。一方で、すべての電動歩行器が対象になるわけではありません。
費用の負担を抑えたい方は、介護保険が使えるかどうかを最初に確認しておきましょう。ここでは、価格の目安、介護保険の条件、保険を使わない場合の選択肢を順に解説します。
購入・レンタルの価格相場
手押し型の電動歩行器は、購入すると10万円台が目安です。一般的な歩行車と比べると、数倍の価格になります。
理由は、モーターやセンサー、バッテリーなどの電子部品が組み込まれているからです。
たとえば、メーカー直販価格は、RT.2の標準サイズが133,800円(税別)です。RT.3の参考価格は157,000円(税抜)とされています(いずれもメーカー公表値)。
介護保険でレンタルする場合は、月々のレンタル料の1〜3割が自己負担となります。レンタル料は事業者によって異なるため、見積もりを取って比べましょう。高額な製品ほど、まずはレンタルで試す方法がおすすめです。
レンタルなら、身体の状態が変わったときに別の製品へ切り替えやすい点もメリットです。
介護保険でレンタルできる条件
介護保険で電動歩行器をレンタルするには、要介護認定を受け、製品が福祉用具貸与の対象であることが条件です。
理由は、介護保険のレンタルが、認定を受けた方のケアプランに基づいて提供される仕組みだからです。ケアプランとは、どのサービスをどう使うかをまとめた介護の計画書のことです。
たとえば、歩行車にあたる手押し型は、介護保険の種目「歩行器」に含まれ、要支援1から原則利用できます。まずは担当のケアマネジャーに、電動歩行器を使いたい理由を伝えるところから始めましょう。
制度の細かな条件は、自治体や時期によって変わることがあります。最新の情報は、ケアマネジャーや市区町村の窓口で確認してください。
まだ要介護認定を受けていない方は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請の相談ができます。
制度上の「歩行器」と「歩行車」の違い
介護保険では、車輪のない「歩行器」と、車輪の付いた「歩行車」は、どちらも種目「歩行器」に含まれます。
ただし、2024年度に始まった「貸与・販売の選択制」では扱いが異なります。選択制とは、一部の福祉用具について、レンタルか購入かを選べる仕組みのことです。
たとえば、この選択制の対象は「歩行器(歩行車を除く)」です。つまり、車輪付きの歩行車にあたる手押し型の電動歩行器は、選択制の対象外です。介護保険を使う場合は、レンタルでの利用となります。
なお、シルバーカーは体重を支える構造ではないため、介護保険の対象外です。用語が似ていて混同しやすいため、判断に迷ったら福祉用具専門相談員に確認しましょう。
介護保険を使わない場合の選択肢
要介護認定がない方や、対象外の製品を使いたい方は、自費での購入やレンタルが選択肢になります。
理由は、電動歩行器の多くが、介護保険を使わなくても一般向けに販売・レンタルされているからです。その場合、費用は全額自己負担になります。
たとえば、自費レンタルで数か月試してから購入を決める方法があります。福祉用具店や通販サイトで購入する場合は、試乗や初期設定のサポートがあるかも確認しましょう。
装着型のWIM Sのように、無料体験会を行っている製品もあります。高額な買い物になるため、まずは実際に試してから検討してください。
自費で購入する場合も、使い方の説明や設定の調整は専門職に相談できます。購入先のアフターサポートも確認しておきましょう。
代表的な電動歩行器「WIM S」

ここまで、手押し型を中心に電動歩行器の選び方を見てきました。最後に、装着型の代表的な製品として「WIM S」をご紹介します。
手押し型の電動歩行器は、坂道の負担を減らす心強い道具です。一方で、歩行車ならではの悩みが残ることもあります。
たとえば、「歩行器を押して歩くのは嫌だなぁ」という方もいらっしゃると思います。そのときの選択肢に、身体に装着するタイプもぜひ加えていただけたらと思います。見た目や使い心地も、毎日使い続けるうえでは大切な要素です。
手押し型と装着型は、どちらが優れているかではなく、支え方が違う道具です。まずは手押し型で残りやすい悩みを整理し、そのうえでWIM Sの特徴を見ていきましょう。
手押し型の歩行器で残りやすい悩み
手押し型の電動歩行器は坂道に強い一方で、「押して歩く」ことによる悩みは残りやすい道具です。
理由は、本体に体重を預ける姿勢が続くと、前かがみになりやすいからです。また、両手がハンドルでふさがるため、荷物を持ったり手すりを使ったりしにくくなります。
たとえば、「散歩は続けたいけれど、歩行車を押す姿は気が進まない」というご相談は少なくありません。本体が約10kgあるため、階段のある住まいや車での外出では、持ち運びが負担になることもあります。
こうした悩みがある方には、道具を押すのではなく、身体に着けて歩行を支える方法もあります。
特に、自分の足で立って歩ける方にとっては、検討する価値のある選択肢です。
WIM Sの特徴と仕組み

当社の装着型歩行支援ロボット「WIM S」は、腰に装着して歩行動作をアシストする製品です。
理由は、腰まわりの機器が歩き方を読み取り、脚の振り出しに合わせて力を加える仕組みになっているからです。
たとえば、重さは装着部を含めて約1.6kgです。ワンクリックで装着でき、約30秒で身につけられます。フリーサイズで、体格を問わず1台で対応できるよう設計されています。装着に手間がかかりにくいため、外出前の準備も負担になりにくいつくりです。
ケアモードやハイキングモードなど、目的に合わせた複数のモードも備えています。どのモードが合うかは、体験会で実際に試しながら確認できます。
1回の充電で、アシストモードは約2時間使えます。充電にかかる時間は約2時間です。
手押し型と比べたWIM Sのメリット
ここまで紹介した手押し型の電動歩行器は、身体を預けながら使う道具です。一方で、WIM Sは身体に装着し、脚の動きそのものをアシストします。
手押し型のように前方へ身体を預ける必要がないため、前かがみになりにくく、両手を自由に使いながら歩けるのが大きな特徴です。
さらに、脚の振り出しをサポートすることで、自然に歩幅を広げやすく、良い歩行姿勢を意識しながら歩くトレーニングにも活用できます。
本体を押し運ぶ必要がないため、階段のある住まいや車での外出でも持ち運びの負担が少なくなります。散歩や外出など、日常生活の中で使いやすいことも装着型ならではのメリットです。
一方で、体重を預けて支える機能はありません。ふらつきが強い方は、手押し型と比べながら検討してください。
体験・導入までの流れ

歩行体験の概念図です。製品の形状や効果を示すものではありません。
WIM Sを検討するときは、まず無料体験会で実際に装着して歩いてみることをおすすめします。
理由は、装着型の歩行アシストは、歩き方や身体の状態によって感じ方が異なるからです。実際に試すことで、自分に合うかどうかを確かめられます。
たとえば、体験会ではスタッフが装着をサポートし、モードの違いも確認できます。ご家族と一緒に参加し、使うイメージを共有しておくのも良いでしょう。担当のケアマネジャーや理学療法士に、体験時の様子を伝えるのもおすすめです。
WIM Sを歩行器の代わりとして全面的におすすめすることはできません。ご本人の目的や身体の状態に合うかを確認し、必要に応じて専門職へ相談しながら検討してください。
電動歩行器に関するよくある質問
Q. 電動歩行器は免許なしで歩道を使える?
A. 手押し型の電動アシスト歩行車は、運転免許がなくても使えます。歩行を補助する道具として扱われ、利用者は歩行者として歩道を通行します。
ただし、製品ごとに使用条件が定められているため、取扱説明書で確認してください。
なお、座って乗る電動カートも免許は不要ですが、歩行器ではなく車いすの仲間にあたります。どちらを使う場合も、歩行者と同じく交通ルールを守って利用しましょう。
Q. 屋内でも使える?
A. 手押し型の電動歩行器は、坂道のある屋外での利用を主に想定した製品が多く見られます。屋内で使う場合は、廊下の幅や方向転換のスペース、段差の有無を事前に確認しましょう。
装着型は本体を押す必要がないため、場所を選びにくいのが特徴です。
ただし、利用できる環境は製品ごとに異なるため、取扱説明書や販売窓口で確認してから使ってください。
Q. バッテリーはどのくらい持つ?
A. 製品によって異なります。手押し型のRT.2・RT.3は、メーカーの標準的な歩行パターンで連続約4時間とされています。装着型のWIM Sは、アシストモードで約2時間です。
坂道の多さや荷物の重さ、気温によっても持続時間は変わります。外出前に残量を確認し、帰り道の分まで余裕を持って使いましょう。
長めの外出が多い方は、購入やレンタルの前に、実際の外出時間と照らし合わせておくと安心です。
Q. 使い始めるときに練習は必要?
A. はい、最初は安全な場所で練習することをおすすめします。電動歩行器は、坂道でのアシストや自動ブレーキなど、普通の歩行車とは違う動きをします。
平らで広い場所から始め、慣れてから坂道や人通りの多い道で使いましょう。福祉用具専門相談員や理学療法士に、使い方の説明や設定の調整をしてもらうと安心です。
使い始めの数回は、ご家族が付き添うとより安全です。
まとめ|自分に合う電動歩行器で外出の不安を減らす
最後に、要点を3つに整理します。
電動歩行器には、体重を預けて坂道を支える「手押し型」と、脚の動きを支える「装着型」があります
支えが多く必要なら手押し型、自分で歩けるけれど疲れやすいなら装着型が目安です
手押し型の一部は介護保険でレンタルでき、選ぶ前にケアマネジャーや専門職への相談が欠かせません
電動歩行器は、坂道や長い距離への不安を減らし、外出の機会を保つための道具です。一方で、身体に合っていなければ、安全に使うことはできません。
まずは普段の外出ルートを振り返り、どの場面で困っているのかを整理してみてください。そのうえで実際に試し、専門職の意見も聞きながら選んでみてください。この記事が、ご本人に合った一台を見つけるきっかけになれば幸いです。








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