高齢者の杖はどこで買う?販売店・通販の違いと失敗しない購入先の選び方

歩くときのふらつきが気になり始めると、「杖はどこで買えばいいの?」と迷いますよね。
ホームセンターやドラッグストア、通販など、杖を扱う場所は意外と多くあります。一方で、どこで買うかによって、試し歩きや相談のしやすさは大きく変わります。
とくに初めての杖は、長さやグリップが合わないと使いにくくなりがちです。
この記事では、高齢者の杖が買える場所と、それぞれのメリット・注意点を解説します。目的別の選び方や、通販で失敗しないためのチェックポイントもまとめました。ご本人はもちろん、ご家族が杖を探している場合も、ぜひ参考にしてください。
杖の種類や長さの合わせ方など、選び方の基本はこちらの記事で詳しく解説しています。
高齢者の杖が買える主な場所
高齢者の杖は、大きく分けて4つの場所で購入できます。福祉用具専門店・介護用品店、ホームセンターなどの身近な店舗、百貨店・杖専門店、そして通販です。
ただし、同じ杖でも「どこで買うか」によって受けられるサポートは異なります。たとえば専門店なら長さの調整まで相談できますが、通販では自分で確認しなければなりません。
どの購入先にも向き・不向きがあります。まずは4つの特徴を知り、ご本人の状況に合う場所を見極めましょう。杖の種類そのものの違いは、高齢者向けの杖の選び方で解説しています。
福祉用具専門店・介護用品店

初めての杖なら、まず候補にしたいのが福祉用具専門店・介護用品店です。身体の状態や生活環境を聞き取ったうえで、提案してもらえるからです。
店舗には、福祉用具専門相談員が在籍していることがあります。福祉用具専門相談員とは、福祉用具の選び方や使い方を助言する専門職のことです。
たとえば「屋外で使いたい」「右膝が痛む」と伝えれば、杖の種類や長さ、グリップの形まで一緒に確認できます。介護保険で多点杖などを使いたい場合も、相談窓口になります。
一方で、店舗数は多くなく、近くにない場合もあります。事前に電話で、取り扱いや相談できるかを確かめておくと安心です。
「失敗したくない」「どれが合うかわからない」という方に向いた購入先です。
ホームセンター・ドラッグストア・大型スーパー

身近な場所で手軽に杖を買いたいなら、ホームセンターやドラッグストア、大型スーパーが便利です。普段の買い物のついでに立ち寄れ、実物を手に取って確かめられます。
伸縮式のT字杖など、基本的な杖を中心に扱う店舗が多く見られます。比較的手ごろな価格のものが多く、急いで1本用意したいときにも頼りになります。
ただし、取り扱う種類や数は店舗によってまちまちです。また、スタッフが歩き方や身体の状態まで確認できるとは限りません。
たとえば、買い替えで長さや種類が決まっている方なら、身近な店舗で十分なこともあります。初めての1本を選ぶ場合は、試し歩きができるか、長さを調整してもらえるかを確認しましょう。
百貨店・杖専門店

デザインや品質にこだわりたいなら、百貨店や杖専門店も選択肢になります。
百貨店では、介護用品売り場や紳士・婦人雑貨の売り場に杖が並んでいることがあります。杖専門店は、素材やグリップ、柄のデザインまで幅広くそろっているのが特徴です。専門知識のあるスタッフに相談しながら選べる店舗もあります。
たとえば「毎日持つものだから、気に入ったデザインにしたい」という方には、選ぶ楽しさがあります。敬老の日や誕生日の贈り物を選ぶ場としても使われています。
一方で、価格はやや高めになる傾向があります。また、身体の状態の確認まで行う店舗とは限りません。見た目だけで決めず、長さや握りやすさを試して選ぶことが大切です。
通販(メーカー直販・ECモール)

品ぞろえの多さでは、通販がもっとも充実しています。
通販には、メーカーの公式サイトで買う直販と、ECモールで買う方法があります。ECモールとは、Amazonや楽天市場のように多くの店舗が出店するインターネット上の商店街のことです。
自宅にいながら多くの商品を比べられ、持ち帰る手間もかかりません。たとえば、今使っている杖と同じ商品に買い替えたいときには、とても便利です。
ただし、実物を試せないため、長さや重さ、握り心地は自分で確かめる必要があります。「高齢者向け」「安定」といった商品名だけで判断するのは避けましょう。
初めての杖を通販で選ぶ場合は、後ほど紹介するチェックポイントを確認してから購入してください。
購入先ごとのメリット・注意点
購入先を選ぶときは、「実店舗か通販か」という違いを押さえると整理しやすくなります。
試せる安心感を重視するなら実店舗、選択肢の多さと手軽さを重視するなら通販が向いています。どちらにもメリットと注意点があり、誰にとっても一番という購入先はありません。
ここでは実店舗と通販の特徴を比べ、最後に購入先ごとの違いを一覧にまとめます。ご本人の状況に照らし合わせながら読み進めてください。
実店舗で買うメリットと注意点
実店舗で買う最大のメリットは、購入前に実物を試せることです。
杖は、長さや重さ、グリップの太さが少し違うだけで使い心地が変わります。店頭で握って数歩歩いてみれば、合う・合わないを体感で判断できます。その場で長さを調整してもらえる店舗なら、買ってすぐに使い始められます。
たとえば同じ伸縮式のT字杖でも、グリップの形によって手首への負担は変わります。実際に比べてみると、その違いがよくわかるはずです。
一方で、取り扱う種類が限られている店舗もあります。また、ご本人が店舗まで出向く必要があり、外出そのものが負担になる場合もあるでしょう。
出かける前に電話で在庫や相談の可否を確認しておくと、無駄足を防げます。
通販で買うメリットと注意点
通販のメリットは、品ぞろえの多さと手軽さです。店舗では見かけない種類やデザインも、通販なら比べながら選べます。自宅に届くため、外出が難しい方や、ご家族が代わりに探す場合にも便利です。
一方で、最大の注意点は実物を試せないことです。長さの調整範囲が合わない、思ったより重いといった失敗も起こりえます。
たとえば「軽量」と書かれた杖でも、グリップが手に合わず、結局使わなくなることがあります。口コミや売れ筋ランキングは参考になりますが、ご本人に合うかどうかは別の問題です。
購入前には、返品や交換の条件もあわせて確認しましょう。合わなかったときに交換できるかどうかで、通販での失敗のリスクは大きく変わります。
購入先別の比較一覧
ここまでの内容を、購入先ごとに整理します。
福祉用具専門店・介護用品店:相談と試用のしやすさが強み。初めての杖や、転倒が不安な方に向いています。店舗数が少ない点に注意しましょう。
ホームセンター・ドラッグストア・大型スーパー:手軽さが強み。急いでいる方や買い替えの方に向いています。専門的な相談は難しい場合があります。
百貨店・杖専門店:デザインの豊富さが強み。見た目にこだわる方や贈り物に向いています。価格はやや高めです。
通販:品ぞろえの多さが強み。仕様が決まっている方や外出が難しい方に向いています。実物を試せない点に注意が必要です。
迷ったときは、「相談できるか」「試せるか」の2点を基準にしてください。初めての1本ほど、この2点を満たす購入先を選ぶと失敗を防ぎやすくなります。
目的・状況別に見る購入先の選び方
購入先の特徴がわかったら、次はご本人の状況に当てはめてみましょう。
「初めてか買い替えか」「どのくらい急ぐか」「誰が使うか」によって、向いている購入先は変わります。
ここでは、よくある4つの状況ごとに、どこで買うのがよいかを具体的に紹介します。「結局どこで買えばいいの?」と迷っている方は、当てはまる状況から読んでみてください。
初めての杖を相談しながら選びたい場合
初めての杖は、福祉用具専門店か、通院先の医療機関に相談してから選ぶのがおすすめです。どのくらい支えが必要かによって、選ぶべき杖が変わるからです。目安は次のとおりです。
軽いふらつきがあり、初めて杖を使う:福祉用具専門店で、T字杖を試して選ぶ
転んだことがある、片側の脚に痛みがある:先に医師や理学療法士に相談し、そのうえで専門店へ
杖に強く体重をかけないと歩けない:杖ではなく歩行器などが合う可能性があるため、専門職に相談する
たとえば「最近、方向転換のときによろける」という方なら、専門店で数種類を試し歩きするとよいでしょう。自分に合う長さやグリップが、実感としてわかります。
初めての1本は、価格や手軽さより「相談できること」を優先してください。
今すぐ杖が必要な場合
急いで杖を用意したいなら、近くのホームセンターやドラッグストアで、長さを調整できる伸縮式のT字杖を選ぶのが現実的です。伸縮式なら、ある程度は身長や靴に合わせて調整できるからです。
たとえば「旅行の直前に、念のため杖を持っておきたい」という場面なら、身近な店舗で間に合います。店頭で長さを合わせ、数歩歩いてから購入しましょう。
ただし、急ぎで選んだ杖は、あくまで当面の1本と考えるのが安心です。落ち着いたら、専門店などで改めて身体に合っているかを見直してください。
また、痛みの原因がわからないまま杖に頼ると、別の部位に負担が移ることもあります。長引く痛みや急な悪化がある場合は、先に受診しましょう。
急に歩けなくなったときは購入より医療対応を優先
急に片方の手足に力が入らない、ろれつが回らない、突然立てない・歩けないといった症状は、脳卒中の可能性があります。日本脳卒中協会は、こうした症状が突然起きた場合は救急車を呼ぶよう案内しています。
このような場合は、「杖を買って様子を見る」のではなく、119番通報を含む速やかな医療対応を優先してください。症状が一度おさまった場合も、医療機関への相談が必要です。
たとえば、朝起きたら急に片脚が動かしにくくなっていた、という場面も当てはまります。「そのうち治るだろう」と判断せず、すぐに行動することが大切です。杖を選ぶのは、医師の診断を受けてからにしましょう。
買い替えで仕様が決まっている場合
すでに杖を使っていて、同じものに買い替えたい場合は、通販や身近な店舗が便利です。長さや種類、グリップの形が決まっていれば、試用の必要性は低くなるからです。
通販なら、今使っている杖の商品名や型番で検索すれば、同じ商品を探しやすくなります。杖先ゴムだけ交換したい場合も、サイズがわかれば手軽に注文できます。
ただし、以前と身体の状態が変わっていないかは確認しておきましょう。たとえば、前かがみになってきた、普段の靴を変えたといった場合は、必要な長さも変わります。
また、杖に以前より強く体重をかけるようになったなら、買い替えだけで済ませるのは避けたいところです。その場合は、専門店や専門職に一度相談してから選び直すと安心です。
離れて暮らす親に贈る場合
離れて暮らす親に杖を贈るなら、サプライズで決めるより、できるだけ一緒に選ぶのがおすすめです。長さや握り心地が合わない杖は、使われなくなったり、歩行を不安定にしたりするおそれがあるからです。
たとえば、帰省のタイミングで一緒に専門店へ行き、試してから購入する方法があります。敬老の日の贈り物にするなら、少し前から予定を立てておくとスムーズです。
一緒に選ぶのが難しい場合は、次の点を事前に聞いておきましょう。
身長と、普段よく履く靴
痛みや弱さがあるのは左右どちらの脚か
主に屋内で使うか、屋外で使うか
そのうえで、長さを調整できる伸縮式を選び、交換に対応している店舗や通販を利用すると安心です。
店舗で杖を買うときに確認したいこと

実店舗で杖を買うなら、「試せる」という強みを最大限に生かしたいところです。
ただ店頭で眺めて選ぶだけでは、通販とあまり変わりません。売り場の探し方、試し歩きのしかた、スタッフへの確認ポイントを知っておくと、店舗での杖選びはぐっと失敗しにくくなります。
ここでは、店舗で杖を買うときに押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
杖売り場の場所と探し方
杖は、店舗によって置かれている売り場が異なります。一般的には、介護用品やシルバー用品、ヘルスケア用品のコーナーにあることが多いです。
たとえばホームセンターなら介護用品売り場、ドラッグストアなら介護用品や衛生用品の棚が目安になります。百貨店では、介護用品売り場のほか、紳士・婦人雑貨の売り場に置かれていることもあります。
売り場が見つからないときは、遠慮せずスタッフに聞くのが近道です。「杖はどこにありますか」と聞けば、案内してもらえるでしょう。
時間を無駄にしないためには、出かける前に電話で在庫を確認しておくのがおすすめです。とくに多点杖やサイズの大きい杖は、置いていない店舗もあります。
普段の靴で試し歩きし、長さを調整する
店舗で杖を選ぶときは、普段よく履く靴で出かけ、実際に歩いてみることが大切です。靴底の厚さによって、必要な杖の長さが変わるからです。
長さの目安は、自然に立ち、杖先を足の少し前外側に置いたとき、肘が軽く曲がる程度です。調整したら、肩が上がっていないか、身体が杖側に傾きすぎていないかも確認しましょう。
たとえば、店内で数メートル歩き、方向転換までしてみると、使い心地がよくわかります。あわせて、しばらく握ったときに手のひらや手首が痛まないかも確かめてください。
試すときは、できればご家族など付き添いの方に、横から姿勢を見てもらうと安心です。本人が気づきにくい傾きにも気づけます。
相談・調整に対応できるスタッフの有無
初めての杖を店舗で買うなら、相談や調整に対応できるスタッフがいるかも確認しておきましょう。同じ杖でも、合わせ方しだいで使いやすさが変わるからです。
とくに確認したいのは、次のような点です。
杖の長さを調整してもらえるか(長さが固定された杖をカットできるか)
どの杖が合うか、相談に乗ってもらえるか
杖先ゴムなどの交換部品を取り寄せられるか
たとえば、長さが固定された木製の杖は、店舗でカットして長さを合わせる場合があります。自分で切るのは難しいため、対応してもらえる店舗を選ぶと安心です。
購入後に交換部品を手に入れやすいかどうかも、長く使ううえでは大切なポイントです。
通販で杖を買うときのチェックポイント

通販は便利ですが、実物を試せないぶん、商品ページの情報をしっかり読み込む必要があります。
見た目の好みや口コミの評価だけで選ぶと、「長さが合わない」「重くて使わなくなった」という失敗につながります。
ここでは、通販で杖を選ぶときに必ず確認したい4つのポイントを紹介します。商品ページを見ながら、ひとつずつチェックしてみてください。
対応身長・長さ調整範囲・重量
通販でまず確認したいのは、対応身長と長さの調整範囲、そして重さです。ここが合っていないと、ほかの条件が良くても使いにくい杖になってしまいます。
対応身長はあくまで目安です。姿勢や普段の靴によって、実際に必要な長さは変わります。一般的には、腕を自然に下ろしたときの手首の高さが、杖の長さの目安とされています。
たとえば、ご家族に手伝ってもらい、靴を履いた状態で床から手首までの高さを測っておくと安心です。その長さが、商品の調整範囲に入っているかを確かめましょう。
重さは、歩くたびに無理なく持ち上げられるかが基準です。ただし、軽ければ軽いほどよいとは限りません。今使っている杖があれば、その重さと比べてみるとイメージしやすくなります。
グリップ形状と杖先ゴムの交換部品

次に確認したいのが、グリップの形状と、杖先ゴムの交換部品です。
グリップが手に合わないと、手のひらや手首に負担が集中します。握力が弱い方や手指に痛みがある方は、手のひら全体で支えやすい形や、左右専用のグリップも候補になります。
左右専用の場合は、どちらの手で持つかを間違えないように注意しましょう。
杖先ゴムは、使ううちにすり減る消耗品です。すり減ったまま使うと滑りやすくなるため、交換用のゴムが手に入るかを確認しておきます。
たとえば、海外製の安価な杖では、交換用ゴムのサイズが見つかりにくい場合があります。商品ページで杖先の直径や交換部品の有無を確かめてから購入すると安心です。
SGマーク・最大使用者体重などの安全表示
通販で杖を選ぶときは、安全に関する表示も確認しましょう。店頭で品質を確かめられないぶん、表示が判断の手がかりになるからです。
目安のひとつが、SGマークです。SGマークとは、製品安全協会が定めた安全基準に適合した製品に付けられるマークのことです。杖にも、SGマークの付いた製品があります。
また、最大使用者体重や耐荷重が表示されている商品では、その範囲に収まっているかを確認します。たとえば、体格の大きい方が使う場合は、とくに見落とさないようにしたい項目です。
ただし、一般的なT字杖は、全体重を預け続けるための道具ではありません。数値だけで安心せず、杖に強く体重をかけないと歩けない場合は、専門職に相談してください。
返品・交換条件と口コミの見方
最後に確認したいのが、返品・交換の条件です。通販では試せないぶん、合わなかったときの対応が重要になります。
未使用に限る、到着後○日以内といった条件は、ショップによって異なります。購入前に必ず確認し、交換できるショップを選ぶと安心です。
口コミは、評価の星の数よりも、使っている人の状況に注目して読みましょう。たとえば「小柄な母に使っている」「屋外で毎日使っている」など、ご本人と近い状況の口コミが参考になります。
一方で、「安い」「届くのが早い」といった口コミは、身体に合うかどうかの判断材料にはなりません。口コミはあくまで参考にとどめ、長さや重さなどの仕様を優先して選んでください。
購入前に相談したほうがよいケースと相談先

杖は自分で買える道具ですが、状況によっては購入前に相談したほうが安全です。
とくに、初めて使う場合、転倒をくり返している場合、病気や手術の後の場合、介護保険を使いたい場合は、先に専門職へ相談しましょう。
相談先を知っておけば、「どこに聞けばいいかわからない」と迷わずに済みます。ここでは、ケースごとの相談先を紹介します。
初めて使う・転倒をくり返している場合
初めて杖を使う方や、転倒をくり返している方は、購入前に専門職へ相談するのが安心です。杖が合っているかどうかは、歩き方や筋力、住環境などによって変わるからです。
身近な相談先として、地域包括支援センターがあります。地域包括支援センターとは、高齢者の暮らしや介護の相談に無料で応じる、市区町村の窓口のことです。
たとえば「杖を使ったほうがいいのか、歩行器のほうがいいのか」といった段階から相談できます。必要に応じて、福祉用具専門相談員などにつないでもらえることもあります。
家具や壁を両手でつかまないと移動できない場合は、杖では支えが足りない可能性があります。杖を買う前に、まず相談することから始めましょう。
病気や手術後の場合は医師・理学療法士へ
治療中の病気がある方や、手術を受けた後の方は、まず医師や理学療法士に相談しましょう。身体の状態によって、使うべき杖の種類や持ち方、歩き方が変わるからです。
理学療法士とは、歩く・立つといった基本的な動作の回復を支援するリハビリの専門職です。
たとえば膝や股関節の手術後は、脚にかけてよい体重が決められている場合があります。その場合、一般的なT字杖ではなく、ロフストランドクラッチなどが指示されることもあります。
退院を控えている方は、入院先のリハビリ担当者に、どんな杖を用意すればよいか聞いてみるとよいでしょう。杖の種類だけでなく、階段の上り下りまで教えてもらえることがあります。
介護保険を使いたい場合はケアマネジャーへ
介護保険を使って杖を用意したい場合は、購入する前に担当のケアマネジャーへ相談してください。先に自分で買ってしまうと、介護保険の対象にならないことがあるからです。
ケアマネジャーとは、介護が必要な人のケアプランを作成し、サービスを調整する専門職のことです。
介護保険で杖を利用するには、要介護・要支援の認定を受けていることが前提になります。そのうえで、指定を受けた事業者を通じて、レンタルや購入を行います。
たとえば、まだ認定を受けていない場合は、地域包括支援センターで申請の相談から始められます。どの杖が対象になるかは次で紹介しますが、詳しい手続きはケアマネジャーに確認しましょう。
介護保険の対象になる杖・ならない杖
介護保険では、「歩行補助つえ」にあたる一部の杖を福祉用具として利用できます。ただし、対象となる杖の種類は制度上限られています。
対象になるのは、松葉杖、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖です。一方、一般的なT字杖は対象外のため、原則として自費で購入します。
2024年4月からは、松葉杖を除くクラッチ類と多点杖について、レンタルと購入を選べるようになりました。
たとえば、多点杖を長く使う見込みがあるなら、購入を選ぶ方法も考えられます。どちらが合うかは、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に確認しましょう。
杖で支えきれない悩みには、装着型歩行支援ロボット「WIM S」という選択肢も

杖は手に持って、身体を外側から支える道具です。一方で、身体に装着し、脚の動きそのものをアシストする歩行支援機器もあります。
杖を使っていても、「足が前に出にくい」「片手がふさがって不便」と感じる方もいらっしゃると思います。そのときの選択肢に、ぜひ加えていただけたらと思います。
当社の「WIM S」は、腰に装着して歩行動作をアシストする製品です。杖のように手で持つ必要がないため、両手を自由に使いながら歩けるのが大きな特徴です。
脚の振り出しをサポートすることで、自然に歩幅を広げやすく、良い歩行姿勢を意識した歩行トレーニングにも活用できます。
WIM Sを杖の代わりとして全面的におすすめすることはできません。ご本人の目的や身体の状態に合うかを確認し、必要に応じて専門職へ相談しながら検討してください。
杖の購入場所に関するよくある質問(FAQ)
Q1:100円ショップで杖は買えますか?
A:歩行を支えるための杖を、100円ショップで常に扱っているとは限りません。杖ホルダーなどの小物が並ぶ店舗はありますが、取り扱いは店舗によって異なります。
杖は身体を支える道具のため、価格の安さより、長さの調整範囲や作りのしっかりさを優先して選びましょう。
Q2:杖はレンタルできますか?
A:多点杖やクラッチ類は、介護保険の福祉用具貸与の対象です。要介護・要支援の認定を受けていれば、自己負担1〜3割でレンタルできます。
一方、一般的なT字杖は介護保険の対象外のため、自費で購入するのが基本です。利用できるかどうかは、担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に確認してください。
Q3:杖先ゴムなどの交換部品はどこで買えますか?
A:杖を購入した店舗や福祉用具専門店、メーカーの公式サイト、通販などで購入できます。杖先ゴムは杖先の直径によってサイズが異なるため、今使っている杖の直径を測ってから選びましょう。
杖先ゴムが片減りしている、溝がなくなっている場合は、滑りやすくなるため早めに交換してください。
Q4:介護保険で多点杖を購入する場合、どの店で買ってもよいですか?
A:介護保険を使って購入する場合は、指定を受けた福祉用具販売事業者から購入する必要があります。指定のない店舗や一般の通販で買った場合は、介護保険の対象にならないため注意しましょう。
購入する前に、担当のケアマネジャーへ相談し、手続きの流れを確認してください。
Q5:杖を買うときは本人が一緒に行ったほうがよいですか?
A:できるだけ、ご本人が一緒に行くことをおすすめします。杖は身長や姿勢、握りやすさによって合うものが変わるため、実際に試し歩きをして選ぶのが確実です。
一緒に行くのが難しい場合は、身長や普段の靴、痛みのある脚の左右を確認したうえで、長さを調整できる杖や交換に対応した店舗を選びましょう。
まとめ|初めての杖は「試せて相談できる場所」で選ぶ
最後に、要点を3つに整理します。
高齢者の杖は、福祉用具専門店、ホームセンターなどの身近な店舗、百貨店・杖専門店、通販で購入できます
初めての杖や転倒が不安な場合は、試し歩きと相談ができる福祉用具専門店がおすすめです
買い替えで仕様が決まっているなら、通販や身近な店舗も便利に使えます
杖は、どこで買うかによって、合う1本に出会えるかどうかが変わります。価格や手軽さだけで決めず、ご本人の状況に合う購入先を選びましょう。
迷ったときは、福祉用具専門相談員やケアマネジャーなどの専門職に相談するところから始めてみてください。この記事が、安心して使える杖を見つけるきっかけになれば幸いです。
杖の選び方はこちらをお読みください。
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